この小さな窓の向こうに

BBC「シャーロック」にはまる日々。今は亡きナンシー関を思いながら感想を綴ります。

Sherlock S1E1-1 ver.2

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シャーロック S1E1 「 ピンク色の研究」のストーリーのフォローの改訂版をお届けします。文章が2018年秋の投稿と一部重なっている点は、ご了解ください。

尚、改訂版は、ストーリーが抜けてしまったS1E1とS1E2だけで、その後はレヴューに入ります。どうぞよろしくお付き合いください。

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シーズン1  エピソード1( リライト版 )

 

 

ピンク色の研究

脚本:スティーヴン・モファット

監督:ポール・マクギガン

 

ベネディクト・カンバーバッチ (シャーロック・ホームズ)

マーティン・フリーマン (ジョン・ワトソン)

 

原題は A  Study  in  Pink  。原作 A  Study  in  Scarlet  から。

この回は記念すべき始まりの始まり。物語は、シャーロックとジョン、二人の出会いから始まる。

 

プロローグ

ジョンは戦場の夢を見ている。自分の部屋で目を覚ましたジョン。机には杖がたてかけてある。

机の上にジョンが置いたのはマグカップと青リンゴ。カップにはアスクレピオスの杖。医療の象徴だが、これはイギリスの王立陸軍医療部隊の紋章。the  arms of the Royal Army  Medical Corps

BBCスクリプトには書いてなかったので気がつかなかったが、Ariane DeVereさんのスクリプトに、ちゃんと書いてあった。ジョンは、軍医だったからね。DeVereさん、ありがとう!

 

ジョンが机の引き出しを開けると、拳銃とラップトップパソコンが入っている。

ラップトップには、ドクター ・ジョン・ワトソン、というタイトルのブログが作られているが、まだ、文章はない。

 

セラピスト、エラの部屋

エラがジョンにブログを書くことをすすめる。

 

ジョン: まだ、心を閉ざしてる、と書いたね

書くことがない

 

オープニング

 

連続自殺事件の現場

飛行場からタクシーに乗った男、18歳の少年、運輸副大臣、いずれも自分から小瓶の中のカプセルに手を伸ばす。

 

スコットランドヤード

レストレード警部と、サリー・ドノヴァン巡査部長が記者会見をしている。連続自殺事件と発表。

 

すると、集まっている記者たちの携帯に一斉にメールが届く。

違う!wrong

 

レストレードのところへは、メール。

待ってる

You know where to find me.  SH

 

もちろんシャーロックからだ。このフレーズは、S4E3の最後で再び登場する。

 

ラッセル・スクウェア公園

マイク・スタンフォードが、歩いてきたジョンに声をかけフラットシェアをすすめる。

 

原作では、ジョンとマイクはクライテリオン酒場で会う。なので、ここではジョンが持っているコーヒーの入っているカップにCriterion  の文字。

 

聖バーソロミュー病院 ( バーツ )

バーツの遺体安置室 ( 解剖室 )  でシャーロック初登場。遺体を鞭打っている。

 

シャーロック :  この遺体は新鮮?

アザの経過を報告してくれ

 

BBCスクリプトでは、シャーロックはこう描かれている。

 

Sherlock:  early thirties,  tall,   lean,  imperious.

He is  plainly  but  neatly  dressed.

30代前半。背が高く、痩せ型、横柄。

地味だが、きちんとした服装。

 

なるほどね。これを三次元化するとベネディクトになる。

 

遺体のことを説明しているのは、監察医のモリー。そして、、

モリー:  あの、もしよかったら、後で

シャーロック:  口紅は前はつけてなかったね

モリー: ちょっと気分転換に

 

モリー:  仕事の後でコーヒーでもどう?

シャーロック:  ブラックで。砂糖は二つ。僕は上にいる

 

シャーロックは部屋を出ていく。

モリーは、一人残され、

OK..

 

コーヒーをというモリーに、上にいるからもってきてというシャーロック。がっかりしながらOKというモリーモリーは仕事の後、一緒にコーヒーをのみにいきましょうと誘ったのに、人の気持には、全く無頓着なシャーロック。

 

バーツのラボ

マイクがジョンを連れてくる。

 

シャーロック:  携帯を貸りたい。僕のは不調だ

メールしたい

 

ジョン: よければ使ってくれ

 

シャーロックはジョンの携帯を受け取り、メールを打ちながら、アフガニスタンイラクか、と聞く。

ジョンは、アフガニスタンだけど。。と。

 

モリーが、コーヒーを持ってくる。

 

シャーロック:  ありがとう

シャーロック:  口紅は?

モリー: わたしには似合わなかったわ

シャーロック:  大きな進歩だったのに。君は口が小さ過ぎるから

モリー:  OK..

 

シャーロック: ヴァイオリンは? 考える時、弾く。何日も話さないことも

同居人の短所は、知っておくべきだ

 

すでに、ジョンと一緒に住むことが前提になっているシャーロック。

 

ジョン:  どうしてアフガニスタンだってわかったんだ?

シャーロック:  君は軍医でアフガニスタンから帰ってきた。兄がいるが、頼らないのは嫌いだからだ。アル中だからかも。最近奥さんと別れたし。セラピストは、君の脚は心因性だと思っている

 

ジョンは唖然としている。

 

部屋に帰ってきたジョン。ネットでシャーロックのことを調べる。

 

さあ、いよいよイカー街。カメラは上から下へスパンしていく。

 

ジョンに遅れて到着するシャーロック。

ジョン: ホームズさん

シャーロック : シャーロックと

 

ここで、とても親密なハドソンさんとのハグ!

 

ハドソンさんの謎は最後まで説明されないので結局わからないのだけれど、久しぶりに帰宅した息子か甥っ子を迎えた時の様な感じだ。

この後何回も繰り返される「私は家政婦じゃないのよ」not your housekeeper も暗示的。

もう、シャーロックったら、と言いながらも、結局部屋を片付けるハドソンさん。

 

シャーロックは、階段を軽々と駆け上がり、ジョンが上がってくるのを待ってドアを開ける。

 

イカー街221B

ハドソンさんのゲイネタに続き、

 

ジョン: 君を検索してみた

君のサイト「推理の科学」

 

スコットランドヤードのレストレード警部がシャーロックに、連続自殺事件の捜査の依頼にくる。シャーロック、くるくる回って大喜び。It's Christmas!と。少年のよう。

 

モリーとのからみでは、人の気持への無関心。ジョンとの会話では天才ぶりを。ハドソンさんとの関係では暖かい愛情。そして、まるで小さな子どものような喜び方。

自分が好きな人には優しいが、関心のない相手には無頓着。天才だが子ども。

シャーロックのアンバランスさが描写される。

 

ハドソンさんに脚のことをいたわられ、イラつくジョン。

 

シャーロックが出ていった後、ジョンが読んでいるのはタイムズ。そこにダヴェンポート運輸副大臣とレストレード警部が、写真入りで大きく載っている。

 

出かけたはずのシャーロックがもう一度戻ってくる。

 

シャーロック:  君は軍医だ。腕前は?

ジョン: 優秀

シャーロック:  たくさんのけが人、ひどい死体も見てきたね

ジョン:  一生分、見た

シャーロック:  もっと見たい?

ジョン:  もちろんだ!

 

この会話で、ジョンの性格がよくわかる。

戦場が懐かしいジョン。思うように動かない脚に苛ついていたジョンはもういない。ジョンはシャーロックと一緒に、冒険へと一歩を踏み出す。

 

シャーロック:  The  game, Mrs. Hudson, is on !

 

シャーロックは、こう言いながらハドソンさんの頬にキスをして、二人はベイカー街221Bを飛び出していく。記念すべきシーンだ。

 

事件現場へ向かうタクシーの中

フロントガラス越しのショットが美しい。車の外のバスや店の文字が画面に写り込む。

 

ジョン: 君の仕事は?

シャーロック:  僕は、世界に一人だけの諮問探偵  a consulting detectiveだ

ジョン:  警察は素人に相談しない

 

シャーロックは、ジョンに対する推理を説明する。軍医、アフガニスタン、セラピスト。

 ジョンの姉(この時はまだ兄として説明)ハリーについての 推理を披露するシャーロック。

 

だんだんと、その説明に聞き入るジョン、ちょっと口をあけて。。

amazing、素晴らしい推理だったよ

 

この時のシャーロック、パイロット版ではもっとゆっくりと反応していてわかりやすかった。放映分では数秒の演技でわかりにくい。

褒められて嬉しいのだが、ジョンのストレートな称賛の言葉が意外で一瞬とまどう。だが、実はすごく嬉しい。

 

シャーロック: そう思う?

ジョン:  もちろんだよ。まったくもって素晴らしい    Quite extraordinary

シャーロック:  みんな普通はそんな風に言ったりしない

ジョン:  みんなは普通なんて言う?

シャーロック: うせろ  Piss  of !

 

シャーロックが、初めて自分が理解された、と感じることが出来た瞬間だった。シャーロックとジョンの、これからの関係ができていく最初のシーンだ。

 

その2へ続きます。