Sherlock S4E1-5
上院
レディスモールウッドを尋問するマイクロフト。レディスモールウッドのコードネームは、ラブ。六年前にAGRAに指令を与える立場だった。
レディスモールウッドは完全否定。
ヴォクソール橋
シャーロックの中で、点と点が繋がっていく。
シャーロックは急に走りだす。行き先は、前方に映り込むMI6の建物。シャーロックはMI6から情報を得て水族館へ。
ジョンとメアリーの家
ジョンが、メアリーに話があると切り出したところで。。
シャーロックからジョンとメアリーへメール。
メアリーへは、大詰めだ。
ジョンへは、ロンドン水族館へ今すぐ来い。
ロージーちゃんの子守にモリーに来てもらう、というジョン。私も待つ、というメアリーに、ジョンは当事者だから先に行けと言う。
ロンドン水族館
閉館5分前。誰もいない水族館。
一人で水槽の前に座るヴィヴィアンに、シャーロックが近づく。
ヴィヴィアン: 私たちはサメに似てる。暗闇を泳ぐ陰の存在
メアリーが到着。
ヴィヴィアンは、自分が機密情報を売っていたことをトビリシのイギリス大使に知られ、レディスモールウッドのコードネームを使いテロリストに情報を流し、大使を殺害させた。
ヴィヴィアンは、平和な人生が送りたかっただけ、見逃して、と銃口を向ける。
タクシーの中
ジョンが電話している。相手は、マイクロフトか、レストレード。
ロンドン水族館だ、今すぐ
ロンドン水族館
動機は嫉妬だと執拗にヴィヴィアンを追い詰めるシャーロック。
シャーロックは、ヴィヴィアンの質素な生活を暴き、自尊心を傷つける。小部屋 little flat というところに反応するヴィヴィアン。
シャーロックが、ヴィヴィアンを侮辱するのをとめようとするメアリー。だが、シャーロックはやめない。賢さを証明した、と、ヴィヴィアンの内面を描いてみせる。
そこへマイクロフト、警官をつれたレストレードが入ってくる。マイクロフトは、ノーバリさんと。ここでヴィヴィアンのフルネームが、わかる。ノーバリは、原作由来。
ヴィヴィアン・ノーバリ、みなを出し抜いた
シャーロック・ホームズ以外は
まだ私にも切り札が、とヴィヴィアンは、シャーロックに銃口を向ける。
そして、傲慢な態度をとり続けるシャーロックに、ヴィヴィアンが発砲。この発砲シーンは、 S3E3のメアリーの発砲シーンとパラレルだ。
だがシャーロックを守ろうとしたメアリーが、身代わりに銃弾を受ける。
駆け寄るシャーロック。
数秒後、ジョンが到着。メアリーを抱きとめる。
シャーロックが、誰よりも大切な人の危機を自分の手で招いてしまった。
ここで、今までアナザーストーリーだと思って見ていたものが、メインのストーリーへと突然変わる。鮮やかな転換だ。冒頭からずっと描かれてきた傲慢で独善的なシャーロックがこの結果を招いたのだ。
メアリーは、ジョンに感謝しロージーちゃんを頼むと、その後、シャーロックとジョンに語りかける。
(シャーロックに)
私、あなたが大好きよ
あの時は、撃ってごめんなさい
これであいこね
そう、これで貸し借りがなくなった
(ジョンに)
あなたは私のすべてよ
メアリー・ワトソンになることで、やっと価値ある人生を送れた。ありがとう
と言って、こと切れる。
ジョンのやり場のない悲しみ、それがシャーロックへの怒りへと変わる。
よくも、約束したろ、誓ったくせに
Don't you dare.
You made a vow. You swore it.
待っているというメアリーに先に行け、と言ったのはジョン。今すぐ来いというメールだったのに。ジョンはどんなに自分を責めたか、でも、それはシャーロックへの怒りへとすり替わってしまう。そうしなければ、自責の念に耐えられなかったのだろう。
自分でもコントロールできない感情、悲しみを通り越して我を失っている自分を、シャーロックにぶつける。あの動物のような呻き声は、理性を越えてしまった、いつものジョンではないジョン。
愕然とするシャーロック。茫然とたたずむマイクロフトとレストレード。
予言された死、宿命を嫌ったシャーロック。死を導いたのは彼自身だった。
メアリーとジョンの後では、サメが悠然と泳いでいる。
水族館のシーンの最後。カメラは徐々に引いていくが、この時、マイクロフトはメアリーとジョンではなく、シャーロックの横顔をじっと見つめている。弟のことが心配な兄。
このシーンは、五人の俳優が彫像のように配置された演劇の舞台のよう。シャーロックの表情はわからない。マイクロフトの、、、ゲィティスの横顔だけが白く浮かび、 S4E2のシャーロックを暗示しているようにも思える。
サメが横切る水槽とオーバーラップして、通路をヴィヴィアンが連れられていく。
白い炎が棺を包み。。。
ここからは、エピローグ。
ジョンとメアリーの家
ジョンの携帯電話には、何回も着信があるが、ジョンは出ようとしない。
セラピスト、エラのオフィス
繰り返し同じ夢をみるのね
エラは S1E1で、ジョンのセラピストだった。
しかし、今、セラピーを受けているのは。。
シャーロック。
マイクロフトの家
スーツ姿で帰宅したマイクロフト。何も入っていない冷蔵庫のドアに。13thの文字。
シェリンフォードへつないでくれ、と電話。
シェリンフォードとはどこなのか、謎のまま。
直接電話できない場所。 S4E3へ。
ベイカー街、221B
シャーロックは、Miss Me ?と書かれたディスクをみつける。モリアーテイのものだと思うシャーロック。だが、それはメアリーからシャーロックへのメッセージだった。
自分の死を予想し、覚悟していたメアリー。人の死を生業としてきたものの矜持だ。 S3E2でショルトー少佐も、同じことを言っていたね。
メアリー: 私からあなたへの依頼よ、生涯で一番の難問かも
もし、私がこの世を去ったら、してほしいことがある
ジョンとメアリーの家
ロージーちゃんの様子を見に行ったシャーロック。モリーが、ロージーちゃんを見ている。モリーはロージーちゃんの教母だからね。だが、シャーロックにだけには頼まないとジョンに言われていると、モリー。
ベイカー街221B
メアリー: ジョン・ワトソンを救って
テームズ川、サウスバンク
シャーロックが歩いている。
死が我々をサマラで待っている。カメラは川の水から水の映像へ。 S4E3へ。
エンドロールの後
ベイカー街221B
メアリー: 地獄へ堕ちて、シャーロック
Go to Hell, Sherlock.
S4E1は S3E3の終盤近くと同じ手法で描かれている。S3E3の終盤近く、Appledoreの外で、CAMがジョンの顔を指で弾き、いたぶるシーン。重要なのは、背後に描かれているシャーロックの表情の変化だ。Appledoreの情報は全てCAMの頭の中にあると知ったシャーロック。 徐々に考えがまとまっていき、ついに CAMを射殺するしかないという結論にいたる。そして射殺シーン、つまり、メインのストーリーへと転換する。
S3E3では、数分間の描写だったが、 S4E1では、ほぼ全編に渡ってこの手法が使われている。
冒頭で描かれた、屈辱感と敗北感にまみれたシャーロック。物語はここから始まり、自己回復できないまま、そこから脱けだそうとして抜け出せない傲慢で自己中心的なシャーロック、そして、ジョンへの信頼と尊敬を失ったシャーロックが描かれる。
そのあげく、裏切り者を探していたエイジェイに、メアリー、という名前をもらしてしまい、
「裏切り者のイギリス女」という漠然とした情報しか知らなかったエイジェイに、「メアリー」という、固有名詞を教えてしまった。
さらに、決定的なのは、メアリーの居場所をエイジェイに知らせてしまったのは、他ならぬシャーロック自身だ。後をつけられていることに気づかなかった探偵。探偵失格だ。
このように、冒頭の最悪の状態から始まった物語。いくつかの決定的な失敗の後、さらに。。
なぜ、ゲィティスは、わざわざ、ジョンがロージーちゃんを預けるために、一足遅く着くようにさせたのか?
それは、ここが、S4E1のメインのストーリーの最後の仕上げだからだ。
ゲィティスは、ここでジョンの「不在」、ジョンのいないシャーロックを描いた。
もし、あの場所にジョンがいたら、もっと早くもっと強く、シャーロックを制止していただろう。人を侮辱することを、ジョンは決して許さない。
S1E1から今まで、そういう場面は何回あっただろう。そのたびにジョンはシャーロックを諌め、シャーロックを倫理的に導いてきた。だが、あの瞬間、あの場所に、ジョンはいなかった。シャーロックにとって一番必要で一番大切な存在がなかったのだ。
S4E1は、だから、今までのシリーズを裏表にして透かし絵として見せている。今まで見てきたものがここにはない。
メアリーは、もう時間が残されていないのを感じ、最後に二人に語りかける。
メアリーはジョンもシャーロックも愛していた。愛情の種類は違うが、メアリーは二人の男を愛した。だからこそ、メアリーは自分の死を予感した時にも、ジョンとシャーロックに同じように愛情を伝えたかったのだ。同じように大切な二人に。
S3E2で作られた三人の関係がずっと続いていることがこのシーンでわかる。三人の物語は、まだ終わっていない。
シャーロック、ジョン、メアリーの三人の物語は、シャーロックとジョンの対立と和解をはらみながら、 S4E2へと続いていく。