Sherlock S4E1-4
ジョンとメアリーの家
ベッドの中にいるジョンとメアリー。ロージーちゃんの泣き声が聞こえ、メアリーが世話をしにいく。そこへ。。
このあたりから、 S4E1のメインの物語が本格的に進展する。
クレイグの家
クレイグがサッチャー像の製造業者は、ジョージア、トビリジのゲルダ商会、と調べあげる。これまでに壊された三体の他、ハーカー家に二体、サンドフォード家に一体ある。六つのサッチャー。
そこへレストレードから電話。ハーカー家で殺人事件。二体が壊された。
サンドフォード邸
シャーロックが待ち伏せしているところへ、犯人が現れる。ここで、結構長い格闘シーン。ここはシャーロックの身体能力の高さを見せているところ。推理も、人間的な成長の面でも S4E1のシャーロックは、いいところがないが、 S1E1からずっと見せてきた身体能力は失われていない。
ボルジアの黒真珠がサッチャー像に隠されていると思っているシャーロック、得意げに像を叩き割る。だが、出てきたのは黒真珠ではなく、AGRAと書かれたUSB。
ありえない。混乱するシャーロック。
シャーロック: 彼女は処分したのに
エイジェイ: 彼女?知ってるのか?俺たちを裏切った女だ
シャーロック: メアリー? 彼女が狙いか
あー、ダメじゃん、シャーロック。放送時には、世界中のファンからツッコミが入ったはず。犯人に名前を知られてしまった。ダメダメシャーロックの大失態。
彼女に伝えろ。俺が必ず殺してやる
イギリス大使館はテロリストに占拠されている。イギリス大使は、私は政府が喜ぶネタを持ってるのに。アモを押さえた、と話す。
そこへ大使らを救出に乱入する四人、AGRAだ。メアリーはその中の一人。だがテロリストに情報が伝わっていた。救出は失敗。大使は殺される。
ロンドン、廃教会?
シャーロックはメアリーをメールで呼びだして、サッチャーの石膏像から出てきたUSBを見せる。
説明して。君は僕に嘘をつけない
そう、二人は双子だからね。
AGRAは、四人の諜報員のチームだった。ジョージアでクーデターが起こり人質の救出に向かったが、計画に急な変更命令があった。電話の声のコードネームはアモ。
自分だけが生き延びた、と思っていたメアリー。
シャーロックは、もう一人生きていた男、エイジェイの顔を教える。その男がメアリーを裏切り者だと思いこみ、命を狙っていると。
メアリーはシャーロックを眠らせるとラップトップからUSBを抜き取り姿を隠す。
その時、シャーロックの頭に浮かぶのは、、
迷子の私 誰が見つける? と歌う小さな女の子の声 (むすんでひらいて、のメロディ)。
海賊の帽子をかぶった 男の子。
S3E3に出てきたアイリッシュセッター。
赤い長靴を履いた男の子。
「海賊」が、はじめて映像として登場する。
ディオゲネスクラブ
マイクロフトの部屋
目をさましたシャーロックは、マイクロフトのところへ。
マイクロフトは AGRAのことを知っていた。メアリーが一員であることも。 AGRAがトビリシで失敗し、以後、マイクロフトの判断で彼らを切った。
シャーロックはコードネーム、アモ ammoとは誰かを調べるように頼む。
メアリーを追おうとするシャーロック。
マイクロフトは、これだけは覚えておけ、と。
メアリーのような諜報員は引退する前に
永久に引退に追い込まれるのが常だ
この一言、最後までこの言葉の意味がつながっていく。予言の自己成就という意味でも、人の命をうばう者の宿命と覚悟、という意味でも。
メアリーは、アメリカ、ノルウェー、ロシア、イラン、モロッコへ飛ぶ。確かに007みたい。
ジョンとロージーちゃんからエイジェイを引き離し、自分一人だけで戦うつもりなのだ。
こういう奇想天外なのは、全然いいと思う。大人になって「緋色の研究」とか、「四つの署名」を読んだ時、えー、シャーロックホームズってこんなだったっけと驚いた。「緋色の研究」の四分の一くらいは、アメリカ、ユタ州、モルモン教にまつわる話だ。「四つの署名」はインドだし。ドイルが生きた時代の未知の世界、ファンタジーが生まれる場所を、ドイルは背景に使った。現代で、ロシアやノルウェーでファンタジーが生まれるかどうかは疑問だが、イギリスから遠く離れた国をサイコロを振って回るというのは、現代のファンタジーのよう。
メアリーがホテルに入るとそこにはシャーロックが。
メアリーが持って行ったUSBに追跡装置をつけていた。
そこへ、ジョンが現れる。追跡装置をつけるのはジョンの案だった。ここのジョンの表情。複雑な顔だ。 笑顔は無い。
ジョン: AGRA、君のイニシャルだと
メアリー: 一部は真実よ
ジョン: 一部ね。嘘ばかり
ジョン: 君が R?
メアリー: ロザムンド メアリー。メアリーが好き I always liked 'Mary'
ジョン: 僕もだ。好きだった
Year, me too. I used to.
僕に話すべきだった
You could have talked to me.
それが夫婦だ。共に乗り越えるのが
もちろん、ここはメアリーという名前と、メアリーその人とのダブルミーニング。ジョンの言葉が過去形なのがつらい。共に乗り越えるべきだった、というジョン。メアリーが自分を信頼しなかったという、悲しみと怒りが入り混じる。
ジョンはずっと厳しい顔だ。怒りがおさまらない。しかし、
ジョン: こんな僕だが、時には君が思うより頼りになる
メアリー:いつもよ
あなたはいい人だわ。非難も不平も言わない
私にはすぎた人よ
あなたとロージーを守りたかったの
ちょっと優しい顔になるジョン。メアリーの手に触れる。
すると、そばにいたシャーロック。
君たちは、僕が守る
えー、シャーロックは、こんな深刻な会話をしている夫婦のそばにいたのか!ま、モロッコだから、秘密の隠れ家もないしね。
でも僕のホーム、ロンドンでなければ
そこへエイジェイが乱入。メアリーと銃撃戦に。
エイジェイは、シャーロックの後をつけてきた。
それに気づかなかったシャーロックの大失態。またもやシャーロックの上をいったエイジェイ。どこまでもダメなシャーロックだ。
しかし、突然、エイジェイは警官に射殺される。
シャーロックはモロッコからマイクロフトに電話。裏切り者がAGRAの情報をテロリストに流していたことを伝える。コードネームは、アモ。ラテン語の意味は、、愛。
ロンドンへ向かう飛行機内
離れて座っているジョンとメアリー。
ジョンの独白: 嘘ばかり。。君だけじゃない
飛行機の窓ガラスに浮かぶ女性の顔
ジョンの回想
ロンドンのバスの中
ジョンの耳に花がついていたシーンに戻る。花をとるとバスの中の女性が立っていて、電話番号を書いた紙を渡す。迷うが、結局それを捨てないジョン。
紙には、番号とE×× の文字。
ジョンは、スマホの新しい連絡先に番号を登録する。
回想シーンが続く。ジョンとメアリーの寝室。メアリーがロージーちゃんの様子を見に行った後。その女性からメール。ジョンも返信する。
メアリーがロージーちゃんをベッドに連れてきて、そのやりとりは終わる。
バスの中
ジョンは、メールを打っている。
こんなことよくない、僕は既婚者だ。
少しの間だけど知り合えてよかった。ごめん。
バスを降りると女性がベンチに座って微笑んでいる。バス停に S4E2のカルヴァートン・スミスの顔。
断片的に続くジョンの回想シーン。 S4E1では、シャーロックの相棒としてではなく、ジョンが一人の人間として描写される。ダメシャーロックと、からめないから。
これらの回想シーン。ジョンの浮気と見えるが、前のシーンのシャーロック、メアリー、ジョンの三人の関係の変化とつながっている。シャーロックにも、メアリーにも、事件解決の手助けを期待されていないと感じるジョン。孤独と寂しさを抱えているジョンに女性が近づいてくる。
自分の倫理観と闘いながらも、女性とやりとりしてしまうジョンの弱さ。シャーロックと比べるから大人に見えるが、ジョンもまた、完璧な強い人間ではない。これが、物語の最後へとつながっていく。
さらに追い打ちをかけるように、メアリーがジョンとロージーちゃんを守るためとはいえ、一人で身を隠してしまい、一層信頼されていなかったと感じるジョン。寂しさを通り越して、それは怒りにかわる。
もちろんジョンは女好きだが、同時に伝統的、保守的価値観の世界に生きているから、結婚という規範は彼にとっては重大だ。浮気とも言えないようなメールのやりとりに、ジョンは罪の意識を感じる。
さらに言えば、ジョンの孤独は、結婚しているからこそだ。信頼されていると思っていた相手から信頼されていなかったという絶望感が、相手を許せないという感情に変わってしまう。
こんなに誠実で勇敢な男は、世界中探したってどこにもいないよね。