この小さな窓の向こうに

BBC「シャーロック」にはまる日々。今は亡きナンシー関を思いながら感想を綴ります。

Sherlock S2E3-4

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バーツ

帰ろうとしていたモリー。暗闇の中にシャーロックが立っている。

 

シャーロック:僕は大丈夫じゃない

                       僕はこれから死ぬ

                       僕が君が思うような僕じゃなく、      僕が思うような僕でなくても 君は僕を助けてくれる?

モリー:何が必要なの? What do you  need?

シャーロック:君だ You.

 

 

シャーロックの声がかすれている。

シャ-ロックが絶対絶命のピンチで、協力を求めたのはモリーだった。

 

ここでいつかのバーツのラボでのモリーの言葉がきいてくる。「ジョンが見ていない時は寂しそう」

 

シャーロック自身が気づこうとしてこなかった自分の心の奥底での深い孤独。そしてジョンへの信頼と依存。それにモリーは気づいていた。あの時は何を言われているのかわからなかったシャ-ロック。今はわかる。

シャーロックは、今、自分が何をすべきか知っている。モリアーテイが求めているゲームの仕上げ、それはシャーロックの死。

友人たちの命がかかっていることも予測している。失いたくないものがある。守りたいものがある。

 

ディオゲネスクラブ

ジョンはマイクロフトを訪ねる。キテイの暴露記事に含まれていたシャーロックの個人情報の出所を詰問する。それを知るのはマイクロフト以外にはいないから。

マイクロフトは万能のキーコードを手にいれるヒントと引き替えにシャーロックの情報を渡した、と告白する。ここでS2E2の最後のシーンとつながる。 S3E1で、マイクロフトの深慮遠謀があったことがわかるのだけれど、ここだけ見たら、悪魔に魂売り渡した兄という感じだ。

 

バーツ

シャーロックは床に座り、小さなゴムボールを床にバウンドさせている。

シャーロックは、ジョンの指の動きを見て自分も指でバイナリーコードを打つ。何かに気づくシャーロック。モリアーティにメールを送る。

 

Come and play.

Bart’s Hospital rooftop.

SH

ps.Got something of yours

you might want back.

 

翌朝、同じ場所

ジョンにハドソンさんが撃たれて重体、という電話がくる。

一緒にいこうというジョンに、考え事で忙しいからいけない、というシャーロック。

ジョンは怒って、You machine とシャーロックに返す。

モリアーティとの対決の時、ジョンを遠ざけるのは原作由来。

 

ジョンが出ていった直後にシャーロックにメールがくる。

I’m waiting..

JM

 

バーツの屋上

二人の天才の対決、ここの会話は難しい。

シャーロックとモリアーテイ、ベネデイクトとアンドリュー。

モリアーテイの黒い瞳の中の邪悪と狂気。

シャーロックの透きとおった瞳の中の冷徹さと激情。

それらが刻々と変わり、見ているほうも予測できない不安と暗い熱狂に包まれてしまう。

 

ああとうとうここに来た

君と僕

僕らの問題 the final problem.

生き続けるのは Stain’ aliveは退屈

ただずっと生き続ける Staying なんて、というモリアーティ。

 

君は最高の気晴らしだったけど

君さえ負かした。君も凡人だった

 

Rich Brookはドイツ語でRichenbach 豊かな小川。

キーコードなど無い、キーコ-ドを表すバイナリーコードかと思われたのは、バッハのパルテイータ1番のリズムだった。

 

モリアーティ:さあゲームを終わらせようか

最後の一幕

シャーロック:僕は自殺するのか

モリアーティ:天才探偵がペテン師だと判明し   たと新聞で読んだよ

  新聞は大好きさ

  お伽話も

 

ジョンはベーカー街221Bへ。

何事もないハドソンさん、ジョンは全てを理解する。

 

バーツの屋上

モリアーティ:君が飛ぶのを見せる以外に友達が死ぬのをとめられない

シャーロック:ジョン、レストレード、ハドソンさん

僕は不名誉に死ぬ

モリアーティ:もちろん、それが大事なところだ

 

シャーロック:ちょっと一人にしてくれないか?

 

ここも原作と同じ。

 

シャーロックが突然くっくっと笑いだす。

 

シャーロック:君がいれば中止命令がだせる

僕は君だ

僕は君と同じくらい邪悪になれる

モリアーティ:いや君は天使の側にいる

シャ-ロック:ああ、僕は天使の側にいるかもしれない

だが僕は天使じゃない

 

ここで流れは変わる。

 

モリアーティ:なるほど君は僕だ、ありがとう Thank you. Bless you 僕が生きている限りともだちを守ることができる

逃げ道がある

がんばれ good luck with that

 

そういってモリアーテイは、シャーロックの目の前で自殺する。

 

暗殺者たちはハドソンさん、レストレード、ジョンを狙って準備している。シャーロックの死以外に、彼らをとめるものはない。

 

バーツの屋上と道路

シャーロックはジョンに電話してバーツの屋上が見える道路にいるように指示する。

 

シャ-ロック:みんな本当なんだ

僕はペテン師だった

新聞はみんな正しかったんだ

僕から目をはなさないでくれ

この電話は遺書だ

 

そう言ってシャーロックはジョンが見ている前で屋上から飛び降りる。

 

道路にうちつけられた遺体。

ジョンは脈をとる。既に脈はなかった。

 

暗殺者たちはシャ-ロックの死を見届けると道具を片付け始める。

 

ディオゲネスクラブ

マイクロフトは The Sun を読んでいる。

 

見出し:いかさま天才自殺

サブタイトル:スーパー探偵死す

     ペテン師探偵、自らの命を絶つ

 

エラのオフイス

ジョンはシャ-ロックが死んだことをどうしても言葉にできない。

 

墓地

黒い大理石の墓、そこにはSHERLOCK HOLMESの文字が刻まれている。

ハドソンさんが去り、ジョンが墓に語りかける。

 

君は最高の男 best manだった

君が嘘をついていたなんて信じない

 

墓に手を添え、

 

僕は孤独だった

君に感謝している Iowe you so much

どうか死なないでくれ、やめてくれ、こんなこと

 

モリアーティが使ったのと全く同じ言葉。だが、ここの  I  owe  you  は、なんと悲哀に満ちているだろう。君なくして僕はない、そんな意味だろうか。

 

やがて自分を鼓舞するかのように軍人のようなたたずまいで墓に背をむけて歩きだす。

 

シャ-ロックはモリアーティの望み通り、汚名と屈辱にまみれて死んだ。

自分の守りたいものを守るために。天使の側にいることを選んだ。

だが、シャーロックは天使ではない。 だから自分が生き残るための策もめぐらす。用意周到に。

少し離れた木陰からジョンを見つめるショーロックの姿。

 

私たちはシャーロックが生きていることを知る。

 

ジョンはシャーロックと知り合う前の孤独な世界へ戻った。

だが、ジョンは知らない。

シャーロックもまた、ジョンを知る前の孤独へ、ジョンと知り合った今となっては、さらに深い孤独の中へ、自ら選んで戻っていったということを。