この小さな窓の向こうに

BBC「シャーロック」にはまる日々。今は亡きナンシー関を思いながら感想を綴ります。

Sherlock S3E3-3

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病院

歩いてくるメアリーに、

ジョン:  大変だよ、シャーロックがまず言ったのは、"メアリー"だよ

ハグしながらジョンはちょっと複雑。メアリーも複雑。

 

 

ベッドに横たわるシャーロック。

タブロイド紙の見出しがかぶる。 

The Daily  Express :  Shag -a-lot  Holmes.

The Daily Mirror : 7times a night in Baker  Street.

調べたところ、shagは、sexのスラング。f○○kよりやや汚くないが、十分に汚い表現らしい。

 

ベッドサイドにジャニーンが来ている。

サセックス   Sussex   Downs  に、蜂の巣があるコテージを買ったわ

 

ジャニーンはいいセンスだ。原作のシャーロック・ホームズは、探偵業を引退した後、サセックスで蜜蜂を飼って暮らす。

ジャニーンはCAM のライバル紙にシャーロックのフェイク情報を売り、一躍お金持ちに。

 

嘘をついてばっかりというジャニーンに、

 

シャーロック:  関係を利用した

ジャニーン:  いつ?  一度でもあればね

 Just once  would  been  nice.

シャーロック:  結婚するまでとっておこうと思って

 

それで、あ、なかったのね、とわかる。

これは、 S3E3のストーリーには、直接関係ないといえば関係ないのだが、物語全体には大事なポイント。シャーロック最大の謎だ。謎を謎のままに残したモファット。シャーロキアンの王道をいく。

 

would been  nice   あったら、よかったのに。と言うジャニーン。シャーロックのことが好きだった。

 

ジャニーン:  これから、また、テレビインタビュー用に話を創作しなくちゃ

I  have  an  interview  with The  One  Show 

 

これって BBC Oneの、夜7時からの番組。

このあたり、モファットの姿勢がちらっと見える。情報を売るものがいて、買うものがいて、メディアは受け手が求める情報を作る。 BBCでさえ例外ではない。終盤のCAM の言葉とつながる。

 

復讐のためシャーロックのモルヒネを止めたジャニーン。でも別れ際、ジャニーンは穏やかな顔になってシャーロックの額にキスをする。

 

嘘をつく必要はなかったのに。あなたを理解してる。いい友人になれたのに。これでお別れよ

 

一瞬、虚を突かれるシャーロック。

残念なことをしたね。せっかくナンバー3の理解者だったのに。

 

レストレードが動画をとろうと、ジョンと一緒に見舞いにくるが、シャーロックの姿はどこにもなく。。

 

シャーロックを探すジョンとレストレード

レストレード:  ヤツの隠れ家は、パーラメントヒル、カムデン・ロック、ダグマー・コート

 

マイクロフト:  キュー・ガーデンズの温室、ハムステッド墓地の傾いた墓

 

ディオゲネスクラブにいるマイクロフトに聞いているのはレストレード。珍しいツーショットだ。

 

モリー:  予備の寝室、いえ、私のベッドルーム

 

ハドソンさん:  ビッグベンの文字盤の後ろ

 

ハドソンさんが言うのをジョンがメモを取っている。

どれも嘘っぽくて、でもシャーロックならあるかも、と思ってしまう。

 

アンダーソン: レンスター・ガーデンズ  Leinster  Gardens  が、極秘の隠れ家だよ。ストーカーして、いや、尾行してわかった

 

アンダーソンが話している相手は、メアリー。

わざとアンダーソンに尾行させたね。シャーロック。

誰にきいたら正確な情報を得られるか、わかっているのはメアリーだけだ。シャーロックはそれを利用してメアリーを導いた。

 

イカー街、221 B

ジョンとレストレードは221Bに。

 

ジョン:  彼は撃った犯人を知ってる。シャーロックが人を守ろうとするなんて

 

ジョンの椅子がもとの場所に戻してある。そう言いながら自然にそこに座るジョン。エンドテーブルに置いてあるのは香水のボトル。三日月型の Claire de la Lune 。

ジョンは何かに気づく。

そこへジョンの携帯電話が鳴る。シャーロックからだった。

 

画面は、三日月型の香水ボトルから夜空の半月へ。この転換も本当に綺麗。

 

レンスター・ガーデンズ

この場所のことは知らなかった。ロンドンというのは、本当に不思議な面白い街だ。

 S3E1に出てきた国会議事堂の真下にある地下鉄の駅はフィクションだが、このレンスター・ガーデンズは実在する。ファザード、正面の外壁だけの家。

 

道端に座るメッセンジャーはウィギンズ。やっぱり路上がぴったりくる。 

シャーロックは、携帯電話でメアリーに語りかけながら誘導する。

 

レンスター・ガーデンズの白い壁に映し出された大きなメアリーの顔は、花嫁衣装に包まれた花のような笑顔。シャーロックは残酷だ。

美しい、幸せそのもののようなメアリーの姿。

S3E2の最後の場面が蘇ってくる。あんなに信頼していたのに。レンスター・ガーデンズ と同じように、メアリーもまた偽りの姿、と言わんばかりだ。シャーロックの怒りが伝わってくる。

 

家の中に電話の声で導かれたメアリー。廊下の端にはモルヒネと思われる管をつけた人物が椅子に座り、シルエットになっている。

 

シャーロックは、電話で語りかける。

 

メアリー・モースタン、1972年、死産の赤ん坊。チズウィック墓地の墓石から、5年前、君は彼女の名前と誕生日を盗んだ

 

どれほど射撃が上手いんだ?とシャーロックに言われ、メアリーは投げたコインを見事に打ち抜く。

 

椅子に座った人物とは反対の方からシャーロックが現れる。苦しそう。

シャーロックが廊下の照明をつけると、椅子の人物がたちあがった。ジョンだった。

 

シャーロックの両親の家、半年後

クリスマスキャロルが聞こえている。

 

ママとマイクロフトは会話をしているが、シャーロックは寡黙だ。何しろいろいろたくらんでるから。黙っている時は何かある。伏線。

 

シャーロックが、読んでいるThe  Guardian  の一面に、スモールウッド上院議員自殺、手紙のスキャンダルにより63歳の生涯を終えた、

の記事。

シャーロックが瀕死の状態だったから、さすがに手紙をとりもどせなかった。

 

ウィギンズがパンチの入ったグラスをママに渡す。シャーロックの脳内ストップウオッチが7分37秒をしめす。

隣の部屋でメアリーは、ママが昔書いた大著を読んでいる。The   Dynamics  of  Combution.

「燃焼力学」。著者は、M.L.Holms 。

ママは天才数学者だった。

 

レンスターガーデンズ、半年前

シャーロック:  ベイカーストリートに戻ろう

 

イカー街、221 B

シャーロック、さらに苦しそう。

(ハドソンさんに) モルヒネをください

 

ジョン:  僕が出会った人間は、みんなサイコパスなのか

シャーロック:  そうだ

君は、「異常」に惹かれている。危険な状況や人々に。だから、愛した女性が危険人物なのも驚きではない。君が彼女を選んだんだ。

 

今までずっと描かれてきたように、特に S3E3の冒頭からずっと描かれてきたように、いくつも張られてきた伏線がここで集約される。

死と隣り合わせの戦場、シャーロックとの冒険の日々、隣人のためにタイヤレンチを用意するジョン。

 

メアリーを選んだのも、ジョンがシャーロックの  best  friend  であるのと同じ理由だ。ジョン自身が、危険と冒険なしにはいきていけないジャンキーだからだ。

怒りで自分を失いそうになりながら、ジョンは次第に自分の感情をコントロールしていく。

 

シャーロック:  彼女はなんだ?  今、この場所で

ジョン:  今の君は依頼人

 

ジョンに、メアリーの話を聞くように、と誘導するシャーロック。 

ジョンは、シャーロックに、いつも君が決める、と。

 

ジョンに対するシャーロックの信頼がみえる。

ジョンは納得していないが、シャーロックの判断を信じようとする。

 

シャーロックはシャーロックの椅子に、ジョンはジョンの椅子に、そして真ん中の相談者の椅子にはメアリーが座る。

いつもの221Bの光景と同じように。