この小さな窓の向こうに

BBC「シャーロック」にはまる日々。今は亡きナンシー関を思いながら感想を綴ります。

Sherlock S3E2-2

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披露宴会場

モリーが心配していたシャーロックのスピーチが始まる。

まず祝電を紹介。

スタンフォードや、友人からの祝電に続き、CAMからの祝電にメアリーの顏が曇る。

 

 

少し前、ベイカー街221B

スピーチは時間をさかのぼり、ジョンがシャーロックにベストマンを依頼にくるところから始まる。

 

ジョン:結婚式は僕の人生の中で一番重要な日だ。欠かせない人が二人いる。僕が一番大切に思う二人だ

メアリーと君だ Mary and・・・・・you

 

何も言わず固まるシャーロック。

 

シャーロック:僕は・・・君の・・・

 

シャーロックとジョンが同時に、親友 best friend?/ベストマン best man

 

ジョン:もちろん、君は僕の一番の親友だ

 

嬉しかったんだね、シャーロックは。一番大切な人と言われて、ティーを思い切り飲んでしまう。目玉入り。

 

披露宴会場

シャーロックのスピ-チの間、ジャニーンは隣の席でシャーロックを好ましげに見上げている。

 

シャーロックのスピーチはたくさんの方が紹介しておられるので、ここでは簡単に。

シャーロックの逆説的なスピーチは次のようにしめくくられ、会場は感動の涙に包まれる。

 

シャーロック:今日、君の両隣には、君が愛する女性と君が救った男がいる。

世界で一番君を愛する二人だ。

メアリーと僕は誓うよ。ずっと君と共にある。

生涯をかけて。

 

これこそがシャーロックの真実の気持。これからの生涯を三人で生きようと。

 

会場の様子を見て、なぜ泣いている? 何か間違った?

と言って、ジョンにハグされる相変わらずのシャーロック。

 

結婚式二週間前、ベイカー街221B

シャ-ロック、ジョン、メアリーは、三人で結婚式の準備をしている。

 

シャーロック:新婦側の招待客が足りない

メアリー:孤児だから。私には友だちだけ

 

身よりのない孤児だというメアリー。伏線。

席次もシャーロックとメアリで相談。ジョンは、関心なし。

 

シャーロック:さてナプキンだ。白鳥か、シドニーオペラハウスか

メアリー:習ったの?

シャーロック:探偵のたしなみだから

メアリー:嘘をついてもわかるわ。私はジョンと違うのよ

シャーロック:ユーチューブで調べたんだ

メアリー:オペラハウスでお願い

 

メアリーの人並みならぬ観察力、洞察力が短い会話でわかる。

 

メアリーはベスから電話と言って部屋を出る。

メアリー:ナプキン見た? 不安なのよ

ジョン:まさか

メアリー:不安だから早く済ませたい気分になってる

ジョン:何も変わらないのに

メアリー:行動で証明して。今までどおり彼と事件をおいかけて

 

ジョンとメアリーが部屋に戻ると、そこには床に座り込んでたくさんのオペラハウスを折っているシャーロックの姿が。

 

ジョン:18種類の香水を試してケーキも9種類、ブライズメイドの服はライラック。もう決めることはない。意見を言うのは疲れた。事件の依頼がたくさん来ている。一つ選んで

シャーロック:調査にでたいのか?  今?

ジョン:頼む。僕のために

 

僕のため、と言うジョン。優しいね。

 

ジョン:出かけてくる。シャーロックと買いにいく

シャーロックとジョンが同時に:ネクタイ/ソックス

メアリー:ソックスで

 

外へ出かけようとする二人。

シャーロックは、メアリーにジョンの息抜きをさせてくる、と言って微笑む。シャーロックがこんな風に屈託なく微笑むのは久しぶり。

シャーロックのメアリーへの信頼がわかる。

 

メアリーはシャーロックにもジョンに言ったのと同じように、ジョンが退屈しているから息抜きをさせてきて、と言っていたのだった。

 

メアリーはシャーロックとジョンに、シャーロックとジョンの二人はそれぞれメアリーに指でサインを送る。三つのサイン。The sign of three

それぞれがそれぞれを思いやる三人の同盟だ。

 

三人が同じ意味のサインを同時に送る。三人の気持が一つになった瞬間。

 

しかし、三つのうち、シャーロックとメアリーのサインの形が同じというのは。。。このサインはスクリプトによると「僕と君だけが知っている秘密」という意味だ。

Unseen by each other, Sherlock does a double thumbs-up at her and gives her a “only you and I know about what we’re doing here” grin,

while from the kitchen John circles his thumb and forefinger at her and winks much the  same  message.

 

ここで、あえてジョンではなくシャーロックとメアリーのサインを同じにしているということは、彼ら二人が秘密を共有するという、二重の意味をもたせているのかとも思う。

あのオタクの脚本家たちが、なんの意味もなくこのような設定をするとは思えないので、ここは要チェック。

 

この三つのサインが三人の関係の象徴だとすると、やはり、S3E2のタイトル、The sign of threeは、このシーンがメインなような気がする。文字通り「三つのサイン」。

 

シャーロックとメアリーの関係は、最初は、当然ジョンを介したものだった。

ジョンの愛する人だから、シャーロックとメアリーの関係も成立した。だがこの時点でシャーロックとメアリーの関係が直接に成立しているとわかる。

思えば、最初から、ジョンがシャーロックを許さず怒っていた最初の出会いから、メアリーはシャーロックの本質を一瞬で理解した。 I  like  him. と。

メアリーの観察力、直感力、洞察力。アイリーンとはまた全く違うタイプの、人間的に魅力的な女性だ。

 

さらに、この三つのサインで、三人に新しい関係が作られていることに気づく。メアリーが二人に助言をして二人の行動を決定づけている。

メアリーと、シャーロック、ジョンとの関わりは、ジョンに助言するシーンだけが描写されていて、シャーロックとのシーンは描かれない。この描き方はこの後もずっと続いていき、伏線となる。

 

シャーロック、ジョン、メアリーの関係は三人関係だが、いわゆる三角関係ではない。

ここはシャ-ロック、ジョン、アイリーンの三人関係と違うところだ。

S2E1ではジョンとアイリーンがちょっと近づくと、シャーロックが割って入り、シャーロックとアイリーンが近づくと、ジョンが割ってはいる。

メアリーの位置はそれとは違う。メアリーは二人の間にはいって愛情を奪うのではなく、二人に自分の愛情を与えるポジションにいる。それがアイリーンとは大きく異なる特徴だ。

 

メアリーはシャーロックとジョンそれぞれと結びつきながら、かつ、二人を結ぶ場所にいる。メアリーが二人を結びつける、というこの形は、これから後もずっと続いていく。

それは権力や権威によってではなく、メアリーの人間的な能力の高さ、共感力、観察力、洞察力、そして何より愛情によって形づくられた関係なのだ。