この小さな窓の向こうに

BBC「シャーロック」にはまる日々。今は亡きナンシー関を思いながら感想を綴ります。

Sherlock S2E2-2

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バスカヴィル研究所

シャーロックが運転するLand Roverが入っていくと看板には秘密基地restricted area の文字。無断借用のマイクロフトの万能の許可証を使用。

 

警備の伍長に、ジョンが第五ノーサンバーランド歩兵連隊のジョン・ワトソン大尉だ、といって査察の案内を命令する。

研究所の真っ白なラボ。コメンタリーではキューブリックを意識したと言っていた。ガスマスクを外して手にもったフランクランド博士と最初に会う。伏線。次に会うのが遺伝子操作専門のステープルトン博士、手帳に書いたブルーベルの文字を見せる。ここでセキュリテイ侵犯の警告がでる。

 

 

バリモア少佐にゆくてを遮られ、あわやというところで助け船を出したのがフランクランド。別れ際に携帯のことをセル・フオンという。伏線。

 

ヘンリー・ナイトの家

たくさんの部屋や温室がある豪邸。原作由来。ここではお金持ちという設定。

まずはキッチンカウンターでコーヒー。シャーロックはいつも通り砂糖二つ。

ヘンリーは二つの言葉が見えてくる、と訴える。Libertyとin。

シャーロックは、ヘンリーに夜に湿原に行くことを提案する。

 

湿原

夕暮れ時、ヘンリーがシャーロックとジョンをDewer’s Hollowへ案内する。やがてあたりは闇に包まれる。途中でジョンだけ道を右に折れ、モールス信号とおぼしき車のライトの点滅を見る。

ヘンリーとシャーロックは、道を左に折れDewer’s Hollowの窪地の底まで降りる。不気味なうなり声がきこえ懐中電灯でそれを照らしたシャーロックの顔が恐怖でゆがみ、当惑し、混乱する。

 

宿の暖炉の前

この数分間のシーン。S2E2の核心。ゲイテイスはここが最も描きたかったはずだ。

 

自分自身の恐怖にむきあって混乱するシャーロック。ここのベネデイクトはうまいな。自分がゆらぐ怖さ。理性の人が自分の理性を疑う時、足もとがぐらぐらと揺らぐはずだ。その恐怖。

 

ジョンがシャーロックにかける、

all right, Spock、うん、わかるよ、スポック、

という言葉は何より雄弁だ。

あ、「スター・トレック」のミスター・スポックね。あの耳の長いヴァルカン人。理性の人。

 

ここのコメンタリーでゲイテイスは、徹底した合理的思考の持ち主が、ありえないものに直面したらどうなるか?

シャ-ロックは危機を迎える。50歳のシャーロックなら、あっさり自分の恐怖を認めてしまうだろうが、ここのシャーロックはまだ修行中で、恐怖を感じている自分にとまどい、動揺する、と。まだ未完成なシャーロック。

 

シャーロックはレストランにいる人たちをジョンに高速推理してみせる、この推理は自分を証明するため。

ジャーロックは自分は正常だ、と何度も叫ぶ。ジョンに言っているように見えるが自分に言い聞かせている。自分は正常だ、狂っていない、実際には錯乱して叫びだしそうになっている。

 

いつもは感情を完璧にコントロールしているシャーロック、コントロールを失い、一人にしてくれと叫び、落ち着かせようとしたジョンに、僕には友達などいないと言ってしまう。ジョンは黙って外へでていく。

 

外へ出たジョン、モールス信号かと思っていた車のライトの点滅。近くまで行ってみて、カーセックスのためとわかる。

 

翌朝、岩山  

シャーロック、僕ってかっこいいモード全開。いつものシャーロックが戻ってきた。何かのアイディアをつかんだ。

 

ヘンリー邸

上機嫌のシャーロックがヘンリー邸を尋ね、キッチンの戸棚から砂糖をこっそり失敬する。

 

教会前

シャーロックが、ジョンにうろうろつきまとって言うセリフ。

 

「僕には友達はいない。君一人を除いては」の後に続く「君はすばらしい。光り輝かないが、光の伝導体  a  conductor  of  light  として最高だ」は、原作「バスカヴィル家の犬」の冒頭そのまま。

 

すごい、ゲイティス。こんな風に使えるなんて。

 

シャーロックは手帳に文字を書いてジョンに見せる。H.O.U.N.D.、言葉ではなく頭文字だったとしたら? 

ヒントになったのが、ジョンが見ていた車のライトの点滅で浮かんだ文字。単語ではないかもしれない、と。そこで光の伝導体。

 

Cross Keys Inn

レストレード登場。コメンタリーでは、レストレードはマイクロフトにシャーロック調教のため送りこまれた、と。

 

ジョンが肉の納品書をみせ、レストレードがオーナーを尋問、犬を飼っていたが既に安楽死させたとオーナーは主張する。

 

そのうしろで、シャ-ロックがポケットから砂糖を取り出し、ジョンに砂糖いりコーヒーをもっていく。

一口飲んでジョンは顔をしかめ、「僕は砂糖は、、」というのだが、シャーロックが傷ついた顔をするのを見て思い直してコーヒーを飲む。おいしかったよ、と言って。

優しいジョン!

 

ジョンはいつも、相手のリアクションを瞬時に理解するので、こうなる。それもわかっていてやってるな。シャーロックは。

シャーロックはジョンがちゃんと飲んだかカップを確認する。

 

Innを出ながら、ジョンはレストレードに、あなたに会えてシャーロックは本当は喜んでいる、典型的なAspergerと。

アスペルガーという言葉が使われるのは、ドラマシリーズの中でここ一回だけ。シャーロックが何回も使うソシオパスは、シャーロックが自分で自分を形容する言葉。

まわりはアスペルガーと思ってたのかな?

 

バスカヴィル研究所

今度はマイクロフトによる24時間無制限アクセス権とともに再訪。

シャーロックは、バリモア少佐に会いにいき、ジョンだけがラボに入る。後でわかるが、シャーロックはバリモアと交渉して協力を取りつけていた。

 

ジョンは、ラボの奥へ続くドアをあける。ドアには Keep out, Unless you want a cold と。奥には金属製のパイプがたくさんあり、その一つからはガスがもれている。ラボに戻ると強烈なライトがつき警報がなる。部屋をでようとするとAccess Denied。ライトが消え、うなり声がきこえる。

ジョンは檻の中に逃げ込み、魔犬を見る。

 

そこへシャ-ロックが現れる。

これ全部シャーロックのしわざね。冷酷シャーロック復活。

 

シャーロックはステープルトンの顕微鏡を借り、ヘンリーのところからもってきた砂糖を調べるが何もでない。

 

その3に続きます。