この小さな窓の向こうに

BBC「シャーロック」にはまる日々。今は亡きナンシー関を思いながら感想を綴ります。

Sherlock S4E3-2

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マスグレイヴの館

食卓で小さなユーラスは歌を歌っている。あの歌だ。

 

古いブナの木の下

深く深く

 

 

小さなシャーロックは浮かない顔だ。

 

イカー街221B

シャーロックとマイクロフトが同時に:

 

私を助けに来て

東風が吹く

 

シャーロック:   16  ×  6・・・

 

マスグレイヴのユーラスの顔と歌がかぶる。

 

イカー街221B

マイクロフト :  私たちは下へ

 

マイクロフトは記憶が戻ったか、とシャーロックの顔を覗きこむ。

 

マスグレイヴの館

小さなシャーロックは、食卓を離れ走りだす。それを目で追うユーラス。

 

シャーロックは、赤ひげ、赤ひげ、と呼びなから、野原の中を走っていく。

 

イカー街221B

ジョン:  赤ひげ?

シャーロック:  僕の犬だ

 

マイクロフト  :ユーラスは、赤ひげをどこかに閉じ込めた

場所は絶対言わず

あの歌を繰り返すだけだった

儀式のように

 

シャーロック: 赤ひげは?

マイクロフト:

見つからなかった

妹は "溺れた赤ひげ"  と呼び始めた

それがシャーロックのトラウマになった。

シャーロックは、感情豊かな子ども an emotional child だったが、それ以来、変わってしまった。別人になった

 

あの一件には絶対に触れず、やがてユーラスの存在も忘れてしまった

 

マスグレイヴの館

小さなユーラスは、何枚も絵を書いている。

五人の家族の中でシャーロックの上にだけ赤いバツ

シャーロックの首に赤いバツ

墓石の絵には、シャーロックよ安らかに RIP SHERLOCK  の文字。

 

ユーラスがシャーロックに向ける強い執着。

ユーラスは邸宅に火をつける。

マスグレイヴの館が焼け落ちていく。

 

イカー街221B

マイクロフト  : 妹は連れていかれた

適切な施設と思われたが、妹はまた放火事件を起こし焼死した

 

シャーロック: 嘘だ

 

マイクロフト : そうだ、思いやりでもある。両親の心痛を考えた。遺体がない説明にもなる

妹の病み方と能力の高さを考えると

通常の施設には収容できるものではない

ルディ伯父が取り仕切ってくれた

 

シェリンフォードと呼ばれる場所がある

島だ

厳重な監視体制が敷かれた極秘施設

収容されるのは

収容不可能な者たち

 

マイクロフトの言葉とかぶりながら、シェリンフォードが映し出される。

 

道の下にいる悪魔を閉じ込めておく場所だ

単なる刑務所や収容施設ではなく要塞なのだ

その中にいる者から世界を守るための

 

妹が幼い頃からいるのはそこだ。外に出たことはない

 

ガラスが割れる音。そこへ、あの歌が聞こえてくる。子どもではなく大人の女性の声。

 

迷子の私

誰が見つける?

古いブナの木の下

深く深く

私を助けに来て

東風が吹く

 

16  ×   6  兄さん

私たちは下へ

 

I that am lost

Oh, who will find me

Deep down below

 The old beech tree?

 

Help succour me now

 The  East Wind's blowing

 Sixteen by six, brother

 And under we go.

 

 My soul seeks

 The shade of my willow's bloom...

 

シルバーの物体を乗せたドローンが乱入。

 

マイクロフト : なるべく離れろ

ドローンが載せているのはDX-707

辛抱爆弾と呼ばれている

動けば爆発する

 

階下のハドソンさんが、あぶない。

ハドソンさん、ガンガン音楽をかけながらお掃除中。

 

ハドソンさんが掃除機を裏にしまう時間に照準をあわせ、マイクロフトはハドソンさんのところへ、シャーロックとジョンは窓から脱出、と話し合う。

 

シャーロック:  あと1分だ、電話は可能か?ジョンが娘にお別れを

 

ジョンが突然:

オスカー・ワイルド

彼が言ってる。純粋な真実はまれ、そして単純ではありえない

ワイルドの「真面目が肝心」

学校でやった

 

マイクロフト : そう言えば私もやったな、ブラックネル卿夫人を演じた

シャーロック : 名演技だった

マイクロフト :  聞けてよかった、気になってたんだ

シャーロック :  幸運を祈る  Good luck,  boys.

 

久しぶりの、boys.

シャーロックは優しい顔だ。いつもは、マイクロフトにさからってばかりだが。

生命のかかったこの場面に似つかわしくない会話。互いを思いやる。

ブラックネル卿夫人は伏線にもなっている。

 

シャーロックとジョンは窓から脱出。そして、、221Bは、炎に包まれる。。

 

このあたりから急転直下。

イカー街の古きよき香りのする物語から、SF or  ファンタジー冒険活劇+サイコ・ミステリーへ、大転換。

 

荒れ狂う灰色の海を一隻の船が進んでいる。その船べりにヘリコプターから降り立ったのは、海賊、、ではなくシャーロックとジョン。

 

シェリンフォード

警備員が砂浜に着くと、二人の船員がしばられていて、砂の上には、妹に僕が来たと伝えろという文字。

TELL  MY SISTER

IM HERE

 

船からさらに二人が拿捕され尋問室へ。白い髭の老人とジョン。所長がシャーロックの変装だと思っていた老人は、マイクロフトだった。

 

その間に奪った警備員の服を着たシャーロックは、ユーラスの特別房へ近づく。

" 羊たちの沈黙" だと思え、必ず距離をとれ、ユーラスから1m以内に近づくな、と、警備員に言われるが、、

扉が閉まると同時に警備員の服を着替え、

いつもの服で、ユーラスに近づくシャーロック。

やっぱりシャーロックは、くるくるヘアじゃないとね。

 

特別房

ユーラスは、ヴァイオリンを弾いている。

 

シャーロックが近づくと、ユーラスは、アイリーンの曲の一節を弾いた後、小さなユーラスがいつも歌っていたあの曲を弾く。

 

その曲を聞いているシャーロックの脳裏に、川で遊ぶ小さなシャーロック。アイリッシュセッターの姿が浮かぶ。

 

所長室

マイクロフト、ジョン、所長の三人は、ユーラスの精神鑑定のビデオを見ている。

 

ビデオのユーラス:

私はなぜここに。誰も教えてくれない

 

特別房

シャーロックが近づくとユーラスのヴァイオリンは雑音に。

 

所長室

ビデオのユーラス:

これは何かの罰?

悪なんてものは存在しない

善も悪もお伽話

 

善は善と限らず、悪は悪と限らない

私は賢すぎるから

 

特別房

ユーラス:  あれを持ってきた?

シャーロック:  何を?

ユーラス:  ヘアバンド持ってきた?

頼んだでしょ

私があなたに盗ませたやつよ

ママから

それがあなたにかけた最後の言葉

家から連れ出された日に

 

シャーロック:  違う、それが最後じゃない

何週間か前、君はフェイス・スミスに化け一緒にチップスを食べた

 

シャーロックの方は、一緒にチップスを食べたフェイスの印象が鮮やかに脳裏に残っている。楽しかったあの時間。あのフェイスがユーラスなのか? それを確かめたい。

 

しかし、ユーラスは、相手にしない。

 

ユーラス: ヘアバンドは、持ってこなかったのね

 

ヘアバンドは、五歳のユーラスが最後にシャーロックに言った言葉だ。ユーラスは、鮮明に覚えている。あの時の自分を覚えていてほしい。覚えていないのなら、思いだしてほしい。

しかし、シャーロックは思い出さない。

 

このシーンで、ユーラスはユーラスとして、初めて二人は向き合っている。ほぼ三十年ぶりの兄妹の対面だ。ユーラスは、長い間、この日を待っていた。しかし、兄は自分のことを覚えていない。

 

二人はそれぞれに相手に対して強い思いを持っていた。だがそれはすれ違う。

 

ユーラスは、シャーロックが何を覚えているのか確かめようとする。

 

シャーロック:  どうやってここから出た?

ユーラス:  簡単よ、私を見て

見てるのにわからないんだ

頑張ってるけど見えてない

ヴァイオリンを見て

 

シャーロック:  ストラディバリウス

ユーラス:  贈りものよ

私から

 

ユーラスは、小さな扉を開けて自分が弾いていたヴァイオリンをシャーロックに渡す。

 

ユーラス:  あなたも弾くでしょ

シャーロック:  なぜわかった?

ユーラス:  なぜわかった? 教えたのは私よ

シャーロック:  君の記憶がないんだ

 

次にヴァイオリンだ。ユーラスがシャーロックに教えたヴァイオリン。

ユーラスは、ヴァイオリンに期待をこめた。言葉は覚えていなくても、音楽は覚えているかもしれない。

しかし、シャーロックは覚えていなかった。

 

ユーラス: マイクロフトが記憶を上書きしたとは聞いてたけど

シャーロック: 上書きした?

ユーラス:  赤ひげの謎は知らない?

 

ユーラスは、シャーロックに記憶のヒントを次々に与えていくが、シャーロックは覚えていない。

 

所長室

所長:

我々が送り込んだ者は全員

取り込まれてしまう

奴隷化されてしまう

 

マイクロフト  :  妹は五歳の頃からそれができた

ましてや、いまや大人

そう警告し、命令したはずだ

 

所長は、ユーラスは精神鑑定をした主治医のテイラーをそそのかし続け、結局、テイラーは自殺し家族も殺すことになったと。

 

特別房

シャーロック:  どうやって脱出した?

ユーラス: もう知ってるはず。私を見て弾いて

 

ユーラスはシャーロックを凝視する。

シャーロックが、バッハのヴァイオリンソナタ第一番を弾き始めると、、

バッハでなく、あなたを弾いて、とユーラス。

 

シャーロックは、アイリーンの曲を弾き始める。