Sherlock S4E3-3
特別房cont.
アイリーンのために作った曲を弾くシャーロック。
ユーラス: セックスしたの?
所長室
マイクロフト、ジョン、所長、三人の会話が続いている。
マイクロフト: (所長に) 単独で妹と話すなと、はっきり言っておいたろう
所長 : あなたは?
それに客まで連れてきた。クリスマスに
マイクロフト : リスクは計算の上だ
所長: そしてプレゼントを与えた
マイクロフト : 私はユーラスがもたらす危険を理解している。
ユーラスは人をプログラムし直す
特別房
シャーロック : 君は僕を覚えてるのか?
ユーラス : 私はどんなことでも覚えてる。ハードディスクの容量の問題よ
シャーロックのイヤフォンにジョンの声が聞こえる。
バチカンカメオだ
ユーラス : ガラスから1メートル離れていろと言われた?
いい子はやめて近づいてみて
シャーロック : 何を覚えてる?
ユーラス : あなたと私とマイクロフト
マイクロフトは賢かった。ゆっくり説明すれば理解できたから
でも私のお気に入りはあなた
あなたを笑わせると楽しかった
でもやり方を間違った
あなたは泣き叫んでた
シャーロックの表情が変わる。
赤ひげ
赤ひげは覚えてる
ユーラスの表情が期待に膨らむ。
ユーラス : 思い出した?
ユーラスはシャーロックを見つめる。
ユーラス : ガラスに触って
所長室
マイクロフト : 私は所長としての君を信頼していた
所長 : いつからかは明らかだ。あのクリスマスの後、彼女は変わった。彼女を目覚めさせたのはあなただ
ビデオのユーラス:
私が助けてあげるわ
奥さんを連れてきて
特別房
シャーロック : 赤ひげは僕が飼ってた犬だ
どんな運命をたどったかは知ってる
ユーラス : あなたは何も知らない
ガラスに触って。真実を教えるから
ガラスに触って、と繰り返すユーラス。
所長室
ビデオのユーラス : 私が奥さんを矯正して新品にして返してあげる
ジョン : 誰もが奴隷化されると言ったね
マイクロフト : ワトソン先生、思うに
ジョン: 黙って Shut up.
所長、これはあなたの声でしょ
S4E3では随所にこのような描写がある。もはやジョンはかつてのジョンではない。
ビデオのユーラス : 妻を信じてる?
ジョン : あなたも奴隷にされてしまったのなら、この施設を仕切っているのは誰なんです?
所長はすまない、といいながらボタンを押す。サイレンが鳴り、ジョンとマイクロフトは警備員に包囲される。
特別房
ユーラス : すべてを見抜く男がちっとも気づかないなんて
ユーラスは自分から手を延ばし、指をシャーロックの指の間にからませる。
二人を遮っていたはずのガラスはなかった。
懐かしい、愛する兄の手だ。兄は何も覚えていないけれど。
ユーラス : どうやってここを出たか尋ねてたわね。こうしたの
シャーロックはユーラスに昏倒させられる。
シャーロックの上に馬乗りになり、首を締めるユーラス。
早くきなさい
止めないと殺す!と叫びながら。
このシーンは、五歳のユーラスが描いた絵と同じだ。どうしても欲しい、どうしても手にいれたいものは、殺しても自分のものにしたい。暗く強い欲望に捉われているユーラス。
五歳の時からユーラスは変わっていない。
シャーロックへの強い執着の根本には愛情がある。しかしその愛情は報いられない。
五歳の時からそうだったユーラス。今も同じ。
最初は、ヘアバンド、赤ひげという「言葉」で、それが駄目なら、ヴァイオリン、「音楽」で、シャーロックの記憶を喚起しようとしたが、シャーロックはユーラスのことを思いださない。
どうしても自分のことを思い出してほしいユーラス。シャーロックに記憶を取りもどさせる戦略は、徐々に過酷なものになっていく。
廊下
警備員に連れられていくジョンとマイクロフト。警備員を振り払い、走りだすジョン。
だが、そこにスピーカーからモリアーティの声が。
緊急事態、緊急事態
クリンゴンの襲撃だ
黒い帽子をかぶったカウボーイ、それにダースベイダーも来たぞ
でも大丈夫
僕が来た
もちろん、クリンゴンは「スター・トレック」。ダース・ベイダーは「スター・ウォーズ」。ベネディクトはハリウッド映画の「スター・トレック」に出演しているしね。S2E2のミスタースポックが懐かしい。
黒い帽子のカウボーイが何を指すのか、わからなかった。どなたか教えてください。
モリアーティ: 会いたかった?会いたかった?Miss me? Miss me?
所内のテレビスクリーンに、たくさんのモリアーティの顔が写しだされる。ジョンは、警備員に殴られ、、
五年前の12月25日
シェリンフォードの海岸
クイーンの「自由になりたい」I Want To Break Free と共に、ヘリコプターから降りてくるのはモリアーティだ。
ヘリコプターから降りると、砂浜でフレディのあのポーズ。
五年前、所長室
モリアーティを待っていたのはマイクロフト 。髪の毛が今よりちょっと多い。
マイクロフト: 君はクリスマスプレゼントだ
ここに収容されている囚人の中に、時々、その知能をイギリス政府のために役だててもらっている者がいる
ツイッターを一時間みた後に、イギリス本土への直近三回のテロ攻撃の日付を正確に予測するとかだ
これはS2E1を指しているかな。
見返りに彼女はご褒美を求める
去年はヴァイオリンだった
今年は、
監視なしで5分間の会話を、君と
君が弟に興味を持っていると気づいたらしい
モリアーティが、シャーロックとの関係は?と尋ねるが、マイクロフトは答えない。
モリアーティ: 僕には確信があるよ。その答えに、きっとぶっ飛ぶ
渋い顔のマイクロフト。
五年前、特別房
この時はまだ、ガラスがある。
モリアーティとユーラスはガラス越しに言葉を交わす。
モリアーティ:
僕は君へのクリスマスプレゼント
僕には何を
ユーラス : 赤ひげ
二人はガラス越しに互いを感じとろうとする。
言葉はなくとも、この二人にはガラス越しに感じられるものがあるのだろうか。シャーロックとモリアーティはあちら側とこちら側だったが、この二人の天才は同じ側にいる。
特別房
シャーロック、ジョン、マイクロフト、所長の四人が閉じ込められている。
ジョン: 妹に会ったか?
シャーロック: 家族は難しい
電話が鳴っているような音が聞こえてくる。
電話がつながり、スピーカーから女の子の声が聞こえる。
電話の女の子:
飛行機の中でみんな起きないの、お願い、助けて
そこへ、スピーカーからモリアーティの声。
やあ、僕はジム・モリアーティ。ようこそ、最後の問題へ
ここでプロローグとつながる。伏線がここで繰り返されるのだが、ややわかりにくい。
女の子が乗っている飛行機の中の光景は、シャーロックの心象風景だ。
シャーロック : 慌てるな、ヤツは死んでる
モリアーティ: これは録音だよ
僕の昔からの友だちに挨拶してくれ
電話の女の子:
もしもし、声が聞こえたわ
助けてください
このままじゃ墜落しちゃう
マイクロフト :
こんなのにつきあっていられるか
これはゲームなのか?
シャーロック: 黙ってろ Be quiet.
(女の子に) こんにちは、落ち着いて
シャーロックは女の子には優しく語りかける。ワンコにも優しかったしね。
マイクロフトに対して、ジョンは、Shut up.だったが、シャーロックの方が Be quiet と言っている。前者は黙れ、後者はお静かに、くらいの違いがありそうだ。
シャーロック : 君の名前は?
電話の女の子 : 知らない人に教えちゃいけないの
突然電話が切れ、スクリーンにユーラスが映る。電話の女の子とユーラスは、同時に登場しない。
ユーラス : あら回線が切れちゃったわね
マイクロフト : なぜこんなことができる?
ユーラス : 私をここにいれたのも、ご褒美をくれたのも兄さん
ジョン : ご褒美?
マイクロフト は、具合悪そうな表情。
モリアーティ: いいぞユーラス、賢い子だ
ユーラス : 死ぬ前に私のために録音してくれた
彼の弟は駅長なの。羨ましかったって
別室にいるユーラスの姿が写しだされる。デスクの上のパソコン画面には、特別房のシャーロックたちの姿が写っている。
モリアーティの弟が駅長というのは、原作由来。
シャーロック : あの少女と話をさせてくれ
ユーラス: 可哀そうな子
空で一人ぼっち
着陸できない飛行機の中
どこにいるのかしら
よくできた問題でしよ。解きたければ電話をつなぐけど。その前に
ユーラスの後に所長の妻が椅子に縛りつけられている。
ユーラス : これから所長の奥さんを撃つわ
とめる方法があるわ
ハッチの中に銃がある
助けたければワトソン先生かマイクロフト、どちらかに所長を殺させて
驚愕したマイクロフトの顔。
シャーロックは駄目よ
あなたがやったら私が殺す
やるのは兄さんかお友だち
シャーロックはマイクロフトに銃を渡そうとするが、
ユーラス : 葛藤の程度をはっきり言葉にして
内心の葛藤が興味深い
私にはできないというマイクロフト。
シャーロックは、ジョンに銃を渡す。
所長は妻を救ってくれ、つまり自分を撃ってくれ、と懇願する。
ユーラスは、デスクの上のリモコンを手にとり、
切迫感を盛り上げる演出を付け加えるわ
画面に映るモリアーティ。
チックタック、チックタック、と秒読みを始める。
シャーロックはジョンに銃を手渡す。
ジョンは所長に銃を向けるが、結局、撃てない。
所長は、すまない、と言いながら、自分で自分の喉を打ち抜く。嘔吐するマイクロフト 。現場に弱いからね。
ユーラス : あんなヤツ死のうが生きようがあんまり面白くないけど、あなたたち三人は素晴らしかった、ありがとう
ワトソン先生、道徳心を振りかざした結果、二人が死ぬことに
ユーラスは、所長の妻をあっさりと射殺する。
ここと、これに続くガリデブの射殺シーンは、ユーラスの「冷血」の表現だ。その核となるものは、すでにマスグレイヴのシーンで描かれていた。
「痛いってどういうこと?」と言っていた小さなユーラス。大人になったユーラスは、身体にも心にも痛みを感じない。
知能とそれ以外の発達が極端にアンバランスなユーラス。だが、最後まで見ていくと、この特徴を拡大させたのはユーラス自身だ。
そのようにしてしか生きてこられなかったユーラス。だから簡単に人を殺す。今のユーラスは、人の命を奪うことに何の痛みも恐れも感じない。
ユーラスの心は、冷たく、固く閉ざされている。ユーラスが見ている灰色の風景の中で、生き生きと息づいているのは、唯一、シャーロックへの執着だけだ。
ユーラス : これは実験だから、厳格じゃないと
シャーロック、銃を拾って
次はあなたの番