Sherlock S2E1-1
シーズン2 エピソード1
ベルグレーヴィアの醜聞
脚本:スティーヴン・モファット
監督:ポール・マクギガン
12+1作品中、おそらく最も人気のある作品。原作「ボヘミアの醜聞」A Scandal in Bohemia のネタをほとんどそのまま使いながら全く別の世界を作りあげた創造力、見ているものの予想を常に裏切り続ける構成、シャーロックとジョンの関係はやや後景に退くが、シャーロックの恋か??とドキドキする新展開、マイクロフトとシャーロックの兄弟関係の入り組み方、シャーロックの微妙な変化などいろいろなファクターが見る者の心をつかんで離さない。
プールサイド
突然モリアーティの携帯電話が鳴る。ビージーズのStayin’ Alive。モファットのパートナー、スー・ヴァーチューが葬儀に参加していたときの実体験に基づいているとコメンタリーで。
電話で出る時にモリアーテイがSorryと声をださずにいうと、シャーロックが同じように、口の動きだけで Oh’ fineと返す。
銃口を向けているのに、会ったばかりなのに、旧知の仲のようなやりとりがおかしい。
モリアーテイは電話の相手に本当にそれがあるなら金持ちにしてやる、と。
これがconsulting criminalモリアーティが、この相談者から犯罪を請け合った始まりだ。この相談者が誰かということは終盤近くで明らかになる。
ベイカー街221B
シャーロックがジョンのブログをのぞき込んでいろいろ注文をつける。
未解決事件をのせる、とちょっと嬉しそうな顔をするジョン。
ジョンのブログが人気を呼び、依頼人が次々と現れる。シャーロックがboring!と追い払った何組かがドラマの伏線となっている。
バーツの遺体安置室
相談のシーンに挟まれる短いカット。
女性の遺体を見ているシャーロックとジョン。ここは原作ネタ。
依頼人が増えているのはジョンのブログの影響で、シャーロックのはオタクすぎて誰も読まないとジョンに言われ、つむじを曲げプイと部屋を出ていくシャーロック。
まだ子ども。12歳設定。こういうなんでもない短いカットがあとでじわっときいてくる。
トランクに死体が入っていた車が放置された空き地
レストレードが連れてきた現場には車のトランクに不思議な遺体が。
乗ってもいない飛行機のチケットやナプキンを持っている不思議。これも伏線。
劇場
新聞の見出しからシャーロック現象がおきていることがわかる。
集まっている記者たちのカメラを避けて、鹿撃ち帽の探偵が誕生する。
現代のロンドンではありえないので、芝居の小道具を使った、という設定に。
タブロイド誌の攻勢がこのあたりから描かれ始める。S2E3まで続く伏線。
ベイカー街221B
男が飛び込んでくる。
Boys!You got another one!
とハドソンさんが叫ぶ。
Boys がステキ。
ハイカー殺人事件?の川岸
男の乗った車がトラブルを起こす。
この車はSAAB、サーブはイギリスでは大衆車なのか? 階級社会イギリスでは、車は帰属する社会のシンボルでもある。
男の車がバックファイアした間に、川べりにいたハイカーの男が死んでいた。
ジョンは、川べりの現場に派遣されている。
ベイカー街221B
昨日、話をしたというシャーロック。
シーツを身体に巻きつけている。
昨日はダブリンにいた、とジョンは文句を言うが、シャーロックはすでにジョンに語りかけることで思考をすすめる習慣になっている。
川岸と221Bが交互に描かれる。
ジョンが、若い警官からかかってきた電話をとろうとすると、いえ、電話ではなくヘリコプターが、と、ここの画面転換も鮮やか。
221Bを二人の男が訪れる。
男の服についていた3匹の小型犬の毛から、シャーロックは行き先がわかる。小型犬=コーギーの飼主は。。女王かその周辺とわかるシャーロック。
わかっていて服を着ようとしない。ここは、シャーロックの意地だ。
バッキンガム宮殿(撮影はゴールド・スミス・ホール)
パンツをはいてないシャーロック、シーツに包まったまま、ジョンと並んで嬉しそうに笑う。
いつも大人のジョンも中学生のようだ。
マイクロフト登場
僕たちは女王に会いに来たのかな?とジョン。
マイクロフトを見て、ああ、そこにいるぞ、とシャーロック。
Queenには「女王みたいに気取ったヤツ」という意味があるというのはYuko Katoさんのブログで。
マイクロフトは、もうハイカーの事件を解いている。弟より clevererな兄。
侍従のハリー登場
シャーロックが帰る、と言って歩き出すのでマイクロフトがシーツを踏み、シャーロックは上半身ハダカに。
ジョンは Boys, please. Not here.
マイクロフトまで Boy 扱いで兄弟喧嘩をおさめる大人なジョン。
シャーロックが服を着て四人の会話になる。
マイクロフトはアイリーン・アドラーのことを二つの政治的スキャンダルの中心と説明する。
性的職業に従事し The Womanとして知られているが、自分は dominatrix、女王様、(つまり鞭をもっているほうですね)、と呼ばれることを好むと。
この時の会話が
マイクロフト:Don’t be aIarmed. It’s do with sex.
怖がるな。セックスの話だ。
シャーロック: Sex doesn’t alarm me.
セックスなんて怖くない。
マイクロフト:How would you know?
どうして君にわかる?
シャーロック=童貞説の根拠でもあり、また同時に、これからのシャーロックの変化と成長の出発点となる会話だ。
その2に続きます。