Sherlock S2E1-2
バッキンガム宮殿cont.
雇い主にとって大切な存在である若い女性とアイリーンとのあぶない写真があるとアイリーンが知らせてきた。写真を取り返してほしいとマイクロフトが説明する。
アイリーンが金を要求してきていない、ただ写真のことを知らせてきた、と聞くと突如シャーロックは目を輝かせる。
ああ、これはパワープレイだ。イギリス最強の一族とのパワープレイ。それこそdominatrixだ。これは面白くなってきた、と喜ぶ。
だが、すぐにジョンにたしなめられる。ジョンはすでにお目付役だ。
ハリーが、この小さな事実を(女王が喫煙者だということね)一般国民には隠してきたのだが、というと、シャーロックは
I’m not the Commonwealth.
と言って立ち去る。胸ポケットには失敬してきた灰皿をしのばせて。
ここは、字幕では僕は一般人じゃない、となっていた。
ハリーが言う一般国民 a lot of people。
シャーロックが言う the Common wealth
後者の文字通りの意味は英連邦。
一般人、つまりは一般国民、という意味にもなるけれど、そうすると、なぜ全く違う単語をもってきたのかわからない。また、なぜシャーロックがハダカのままバッキンガム宮殿に行こうとしたのかもはっきりしない。
ここは、女王の統治下にあるもの、という意味ではないだろうか?
I’m notなので、女王の秘密であろうが、女王の統治下にはない自分には関係ないね、という意味ではないだろうか?
そうしないと行き先がわかっているのに、なぜ、あえて服を着ないのかがわからない。バッキンガム宮殿に強制的に連れていかれるとわかっているからこそ、自分は女王の統治下にはない、女王には支配されない、という意志表示として服を着替えなかったのではないだろうか?
交互に準備をするシャーロックとアイリーン、二人の姿が描かれる。
シャーロックがいう
add a splash of colour
これはcolour(色)とcollar(襟のカラー)をかけている。
またもやYuko Katoさんのブログから。
白いカラーをつけて原作由来の牧師の格好に。
色の方はジョンのパンチで、血をプラス。ジョンはシャーロックより武闘派であることが判明。元軍人だからね。
色のカラーはアイリーンの方にも血の色の赤が唇に加えられていく。この真紅の口紅はまた後のシーンへ引き継がれる。
ベルグレーヴィア44
アイリーンが住んでいるのはベルグレーヴィアの超高級住宅街。バッキンガム宮殿近く。
ウエストミンスター公爵が所有し、名称は公爵が持つ爵位の一つ、ベルグレーヴ子爵からとられている。
住んでいるのは、超の上にも超がつくお金もち。アイリーンは文字通り、ハダカ一つでここが買えるようになったわけだ。あるいは長期リースかも。
ハダカのアイリーンに戸惑い、推理がきかないシャーロック。
全くの全裸。三面記事はたくさん読んでいるけど。。ハダカの遺体はたくさん見ているけど。。生きているハダカは???なまみのハダカには免疫のないシャーロック。
ジョンを見て、ちゃんと推理できているのを確認。
ハダカの力は最強。
アイリーンが勝負服と言うのももっともだ。この後あれこれあり結構な悪女だけれど、この最初に相対する時にハダカを選ぶ、というのはなかなかの強者だ。
シャーロックだけでなく、アイリーンもまた自分のハダカで勝負しようとした。
身をまとうもののあれこれで自分の価値を高めるのではなく、また、自分をごまかして本当の姿を見せないのでもなく、素の自分で勝負するのが最強と決めたあたりから、この二人には共通の精神構造がある、とモファットは描きたかったのではないかな。
だからこそ、かけひきや思惑はあるものの、それらを越えて互いに惹かれあうものがある。
でもただ惹かれあうだけではなく策略とか思惑とかいろいろあるから、そこに見ているほうは振りまわされ、またそこに魅了される。
シャーロックは視線をはずしたまま、自分のコートを渡して着るようにうながす。
一緒にハイカー事件を推理する二人。この画面転換はステキ。
ジョンが火をつけ、アイリーンの視線からシャーロックは、問題の写真が入っている携帯電話の隠し場所をつきとめる。
CIAが乱入してくる。
シャーロックは金庫のコードを言わされる。それはアイローンのスリーサイズ。
乱闘シーン、シャーロックは銃をクルクル。少年なら誰でも一度はやってみたいよね。
金庫に隠してあったアイリーンの携帯電話はシャーロックの手に。これで爵位がもらえる、と。
シャーロックが画面をあけようとすると、ロックがかかっている。
I AM □□□□ LOCKED
シャーロックはアイリーンに注射針をさされ、携帯電話は再びアイリーンの手に。アイリーンはシャーロックのコートを着たまま窓から消える。
ベイカー街221B
部屋で意識を取り戻したシャーロック。
ジョン、ジョン、と呼ぶが、次に出た言葉は、
あの女、女。。
The woman. The woman, woman !
強烈な印象を残して去ったアイリーン。自分を打ち負かした女だけど。。。
シャーロックの部屋のドアにはいつの間にかコートがかけられている。そしてコートのポケットのシャーロックの携帯電話には “アアーン” のセクシーなメールの着信音がセットされていた。
眠っていたシャーロックの頬には真紅のキスマークがくっきりと。
ここはいかにも悪女らしい駆け引き。キスマークと着信音とダブルでシャーロックの心を揺さぶる。
翌朝のべイカー街221B、短いシーンにネタがいっぱい。
・シャーロックがマイクロフトに、写真は安全、アイリーンは脅迫はしない。お守りが目的だからほおっておいてやれ、と。つまり、写真は取り戻せなかった。
・マイクロフトがハドソンさんにshut upと言って、全員に怒られる。ハドソンさんとマイクロフト、シャーロック兄弟との関係に興味がそそられる。
・写真の他にも何かあるなとシャーロック。何かもっと重要なことが。マイクロフトは否定しない。
・セクシーな "アアーン” のことをみなに非難されてもシャーロックはとぼける。ジョンに誰が着信音を代えたんだと問われても、新聞で顔を隠してごまかすところをみると、楽しんでいるようにも見える。少年のようなシャーロック。
ジョンは、気になって仕方がない。
・新聞にバーツの改修記事、S2E3へ。
・マイクロフトの電話。ボンドエア&コベントリーという言葉。伏線。
・マイクロフトは、アイリーンのことから手をひけと言う。弟が危険にさらされることを予知している兄。できれば避けたい。
弟が言うことを聞くはずはないのに、言わずにいられない兄。
・古い友人 a very old friend に写真が取り戻せなかったことを謝りにいくというマイクロフト。
シャーロックは彼女によろしくと。彼女とは? 古い友人?
そしてシャーロックがヴァイオリンで弾くのは
God save the Queen.
行き先は、事件の依頼主が住むバッキンガム宮殿。
カメラは窓辺へ。
その3に続きます。