Sherlock S3E3-1
シーズン3 エピソ-ド3
最後の誓い His Last Vow
脚本:スティーヴン・モファット
監督:ニック・ハラン
S3E2で、どんなことがあっても君たち三人を守ると誓ったシャーロック。S3E3では、言葉どおりその誓いを守る。S3E1で始まった伏線が、この回でメインのストーリーとして現れ、衝撃的な終末を迎える。
原作は、「犯人は二人」、「唇の曲がった男」
プロローグ
上院調査委員会、参考人招致
チャールズ・アウグストゥス・マグヌセン(以下、CAM)に対する査問が行われている。
スモールウッド上院議員が鋭く質問するとCAMの視線が彼女に移る。眼鏡をかけると、彼女の情報が画面に現れる。
Lady Elizabeth Smallwood
汚点:なし
pressure point 急所
が点滅し、夫、と示される。
pressure pointは、字幕では圧力点 になっていた。日本語としては、急所とか、もう少し敷衍して、弱点の方がこなれるのではないかな?
ここでは、急所、と表現することにしよう。
CAMは、メディア王、マードックがモデルだという説も。S2からずっと続いているモファットとゲィティス のマスメディアに対する意識が基礎にありそうだ。
夕暮れ時に一台の車が郊外の超モダンな大邸宅に到着し、CAMがその中へ入っていく。
この個性的な家、物語の中では、Appledore と呼ばれている。実在する家だ。イギリスには、時々とんでもない家がある。鮫が屋根につき刺さった家とか。
螺旋階段を降りると、そこは、S3E1で、男が、燃えさかる火の中へ飛びこんでジョンを助け出すシャーロックの映像を見ていた場所だ。
クラブと思われる重厚な部屋で、書類を点検するレディスモールウッド。そこへCAMが現れる。
夫が15歳の少女と交際し、セクシャルな意味の手紙を出していた。その手紙を持っている、と恐喝する。ヌメヌメと嫌らしい感じがなんとも。しかも、これを痩身で知性的な デンマーク人の俳優、ラース・ミケルセンが演じるから、さらになんとも。。
ここで、CAMがレディスモールウッドの手をとり、"若づくり"と嫌味たっぷりに表現する香水、Claire de la Lune (月の光)が、伏線になる。
CAMが去り、絶望感にとらわれるレディスモールウッド。しかし、CAMに屈服しない人物がいることに気づく。
オープニング
ジョンとメアリーの家
ジョンは夢を見ている。戦場の夢。そして、ジョンが最初にシャーロックと事件の調査に出かけた場面。
ジョン: むごい死傷者を一生分見てきた
シャーロック: もっと見たい?
ジョン: もちろん
シャーロック:( 微笑みながら ) The game is on!
冒険が懐かしくてたまらないジョン。
ジョンとメアリーの家のドアを、早朝にノックする隣人の女性。息子がドラッグを吸う場所に入り浸って帰ってこないと泣きながら訴える。
その息子を迎えに行くジョン。ジョンの車はアウディ。運転はメアリーだけど。
さすが武闘派。タイヤレンチを装備。
廃屋
単身乗り込んだジョン。入り口で入るのを阻む男の腕を捻挫させ、二階へ。
探していた青年をベッドから起こすと、隣のベッドには、なんとドラッグ漬けのシャーロックが。
車を運転してきたメアリーがみんなを乗せて帰る。ジョンが捻挫をさせた男、ウィギンズも一緒に。
バーツ
ジョンはモリーにシャーロックのドラッグ検査を依頼。モリーはシャーロックに三連続ビンタ。モリーはシャーロックの姉か母のようだ。シャーロックの後見人がまた一人増えた。
モリー: 謝りなさい!Say you're sorry.
シャーロック: 婚約破棄、残念だね Sorry your engagement's over.
指輪がなくてよかった
シャーロックは、ドラッグは事件のためと弁明。相手を油断させる、と。
ウィギンズがある男に殴られた、と言うと、
ジョン: 薬のきれたジャンキーだろ
シャーロック: ある意味、そうだ
冒険がきれたジャンキーのジョン。
ビル・ウィギンズが意外につかえることがわかり、シャーロックは気にいる。
ウィギンズは、いくつかの原作に登場する Baker Street Irregulars と呼ばれる浮浪児のグループのリーダーの少年の名前だ。
S2E3でもホームレスが大事な役回りを果たした。S1E3でもホームレスの女性が情報を提供した。その他の回でも、シャーロックはホームレスのネットワークを使って情報を集めている。原作にも共通するが、このドラマシリーズでは、その辺りのシャーロックの感覚がより明確に示されている。
ウィギンズは正真正銘のジャンキー。風貌もいかにも怪しげな雰囲気だが、結局この後シャーロックの助手になっていく。シャーロックらしい選択。
シャーロックの携帯に着信がある。おそらくCAMと面会のアポイントメントがとれた。
シャーロックとジョンはタクシーで移動。
シャーロックは、CAMの話をジョンにする。
ベイカー街、221B
階段に座って待っていたマイクロフト: シャーロック、再発したか
アンダーソンと、「空の霊柩車」の仲間の女性に、221Bでドラッグを探させている。
マイクロフトは皮肉な言い方しかしないが、ジョンからの電話でシャーロックがドラッグを使っていることを知って飛んできたのだ。兄はいつも心配症だ。
ジョンは、あたりを一瞬見回し、221Bに自分の椅子がなくなっているのに気づく。
椅子を見るたびに座る人の不在を突きつけられるシャーロック。一か月たって、まだジョンの不在に慣れない。いや、慣れようとしているのだろうな。
それがわかるジョンも、ちょっと複雑な気分だ。
シャーロックの口からCAMの名前が出ると、マイクロフトの顔色が変わる。
マイクロフト: マグヌセンに構うな。私の保護下にある consider him under my protection
シャーロック: あいつの言いなりなんだな
consider you under his thumb
マイクロフト: 彼に敵対するなら私を敵に回すことになる
もちろん、言うことをきかない弟。
ジョン: どんな事件なんだ?
シャーロック: 真っ当な人間が関わるには危険すぎる
ジョン: 僕をのけものに?
シャーロック: まさか、誘ってる
繰り返される、ジョン=ジャンキー
=シャーロックもだけど。もちろん。
シャーロックは、 3時間後にCAMと会うからと言ってシャワーをあびに浴室へ。寝室に入るなと言いながら。
寝室から出てきたのは、ジャニーン!
シャーロックをシャール、マイクロフトをマイクと親しげに呼ぶ。唖然とするジョン。
コーヒーの場所がジョンがいた時とは変わっている。ジャニーンは知っていて、その場所をジョンに教える。何回もきているからね。
浴室から出てきたシャーロックは、ジョンにCAMを水族館の鮫のようと形容。CAMに対する嫌悪感をあらわにする。原作由来。
ジャニーンは、シャーロックの椅子のひじかけに座る。二人の親密な会話とふるまい。ジョンは、その光景が信じられない。マーティンの演技が細かくて上手くてステキ。驚いたり、打ち消したり、喜んだり。
別れ際には熱い恋人同士のディープキスまで。
見ていられなくて思わず横を向いてしまうジョン。
ジャニーンが部屋を出て行った瞬間にシャーロックは真顔にもどり、
CAMは力と富を使い情報を収集、
He uses his power and wealth to gain information. The more he acquires, the greater his wealth and power.
世界中の重要人物の弱点を握っている恐喝のナポレオン、と説明する。そしてその情報が蓄えてあるのが、Appledore 。ハッキングされないよう、印刷した書類が保管庫にしまってある。
原作「犯人は二人」では、シャーロック・ホームズが、メイドと婚約するくだりは具体的には書かれていない。S3E3ではその描いていない部分、シャーロックの謎の部分を少しだけ見せてくれている。
少なくともシャーロックが女性を口説ける、ということはわかった。原作でもシャーロック・ホームズは必要ならすぐに女性と仲良くなれるからね。