Sherlock S1E2-2 ver.2
シャド・サンダーソン投資銀行 cont.
セバスチャンは、昨晩何者かが侵入した、と
元会長の部屋へ二人を案内する。この銀行の創始者 、サー・ウイリアム・シャド。
元会長の肖像画と壁に黄色のペンキで不思議な文字が書かれている。ちょうど目の上に書かれているから、サー・ウィリアム = The Blind Banker
夜中に侵入しペンキでこれを書き、1分で去った、警備の穴を見つけてくれ、と前金を渡そうとするセバスチャン。
金でつる必要はない、とシャーロックが行ってしまった後、今のは冗談ですよ、僕が預かります、といって金を受け取るジョン。しっかり秘書役を。
シャーロックは元会長の部屋に戻り、携帯で文字の写真をとり、部屋の外のバルコニーから、ビルの下までの距離を目測。
トレーディングルーム
シャーロックは、柱に隠れずに文字が見えるのかは、誰のデスクからかを自分で動いて確かめる。
Sherlock is dancing...
見つけた名前は、
香港担当、エドワード・ヴァン・クーン。
投資銀行を出ながら、ジョンは、
月二回の出張? 秘書と話なんかしていない、どうしてわかったんだと聞くと、シャーロックは、腕時計の日付が二日前、今月発売の新モデルだと答える。
セバスチャンの時計はロレックス。
ここで、シャーロックが高価なブランド品をよく知っているのがわかる。
シャーロックの着ているベルスタッフのコート、スペンサー・ハートのスーツ、D&Gのシャツ。靴はサンローラン。時計はイギリスの老舗ロータリー。
どれも高価でおしゃれ。S3E1では「このシャツどう?」って鏡を見ながらマイクロフトに聞いていたし。
また、シャーロックはネクタイをしない。ネクタイはもともと貴族の首元を飾っていた布が時代と共に変形してきたものだし、自分が社会に帰属しているという意思表示だから。
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マイクロフトの服装についての説明を見かけたので、補足しておこう。
「マイクロフトのスーツは、ロンドンで名門テーラーが集まるサヴィル・ロウ、しかもその一番地に鎮座するギーブス&ホークスです。エスタブリッシュであることを表現するのに最適なスーツです。」
中野香織「ホームズの英国的な変人ファッション」『kotoba』2019年夏号、集英社。
2019年12月6日、追記
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ヴァン・クーンのマンション
シャーロックは、一階上のバルコニーから侵入、バルコニーから下への距離を確認する。
ベイカー街221Bとは全く違うモダンな部屋、
高給を稼ぐトレーダーの部屋だ。
寝室のベッドでヴァン・クーンは、殺されていた。
ドアの外からジョンがベルを鳴らすが、シャーロックは開けない。一人で観察し推理する習性のシャーロックに、ジョンの声は聞こえない。このモチーフはこの後も繰り返される。
被害者のスーツケースの衣類の形から、何かをくるんでいた、と推察するシャーロック。
文字はメッセージだ。受け取りたくないメッセージとは?
シャーロックは、ヴァン・クーンの口の中から何かを取り出す。黒い紙で折られた小さな花。
そこへディモック警部登場。
シャーロックは、白い作業用手袋を外して握手しようとするが、ディモックは手をださない。
ディモックは、明らかに自殺だな、と言うが、
シャーロックは、傷は右側頭部
彼は左利きだ。体をよじったのか?
ドアは内側からロックされてた
犯人はどうやって中へ?とディモック。
シャーロックは、いい質問だというが答えない。
レストラン
会食をしているセバスチャンのところへ、シャーロックが突然現れる。
レストランのトイレット
シャーロックからヴァン・クーンのことを聞き、セバスチャンは、
オックスフォード卒の優秀なヤツだ
Harrow. Oxford. Very bright guy.
字幕では高学歴、となっていたが
セバスチャンは、ここで、ヴァン・クーンはハーロウ校からオックスフォード卒と言っていて、自分はイートン校だから別格、と実は言いたい。セバスチャンのイヤなヤツ感、炸裂。
そこへ会長からセバスチャンにメール。
セバスチャンは、警察も会長もヴァン・クーンは自殺だと言っているから、頼んだことだけやれ、余計なことをするなと。
セバスチャン= The Blind Banker
すかさず、ジョンが銀行家はみんな嫌なヤツだとフォローする。Good job !
国立古美術博物館、修復室
アンディは、明の壺が出品されるオークションで鑑定するようにと館長から言われる。スーリンはやめたので、その代わりにと。
スーリンの作業デスクの上は、修理しかけの茶器がそのままになっている。
シャフツベリー・アベニュー
アンディはドアベルを鳴らすが、誰もでない。
ドアにはヤオ・スーリンの表札。
アンディは、メモをドアポケットにいれる。
隣の店のウインドゥに招き猫。スーリンのフラットは中華街にある。
GP(General Practice )の医院
ジョンの履歴書を読んでいるサラ。
ジョンは、代理医師の面接を受けている。
ベイカー街221B
シャーロックは、携帯で撮ってきた不思議な文字の写真を壁に貼って見ている。
ジョンが帰ってくる。
シャーロック: ペンをくれといっただろ
ジョン: いつ
シャーロック: 一時間前
自分の思考の世界に入ってしまうと時間の感覚がないシャーロック。
ジョンは、シャーロックにペンを投げる。シャーロックは、ジョンの方を見ずにペンをキャッチ。
ベネディクトは、このシーンのためにかなり練習したらしい。
思考回路に入ってしまうと時間の感覚がないという描写は、これから何回も出てくるシャーロックの特徴の一つ。本人にとっては当たり前の行為だが、他人から見ると傍若無人に見える。
シャーロックは、ジョンにパソコンで Online News の記事を見せる。
ジャーナリストが、ゆうべ密室でヴァン・クーンと同じ死に方をした、同一犯だ
シャーロックとジョンがディモック警部のところに来ている。
ディモック警部は、迷惑そう。
シャーロック: ブライアン・ルーキス
自宅で殺された、ドアは内側から施錠
僕の言葉を信じてくれてれば took my word as gospel 捜査はもっと早く進んでた
これは殺人だ、現場を5分見せてくれ
gospel は神託という意味だから、ディモックは腹がたつだろうね。なんでもいいから信じてればいいんだ、という傲慢な言い方。
ブライアン・ルーキスの部屋
床には、黒い折り紙の花が落ちている。
シャーロックは、窓が開いているのに気づき、犯人は、壁をよじ登り屋根伝いに天窓から入った、ヴァンクーン殺害時は、6階まで登り、
銀行侵入時も窓の桟を登って侵入、とディモックに解説するが、ディモックは信じようとしない。
シャーロックは、階段に投げ置かれたウェスト・ケンジントン図書館の本に気づく。
ルーキスは、その本を死んだ日に借りていた。
本棚の奥にはあの不思議な文字。
シャーロック: 殺し屋は銀行にいき、ヴァンクーンに、メッセージを残した
怯えたヴァンクーンは部屋に閉じこもったが、数時間後に死亡
ジョン: 棚の暗号を見たルーキスは逃げ帰り、
その夜に死んだ
シャーロック: 答えは、暗号に
シャーロックはジョンと共に黄色のペンキを調べにいく。二人はトラファルガー広場を突っ切って歩く。
シャーロック: 事件の暗号は旧式
現代の解読法は使えない
ジョン: どこへ行くんだ?
シャーロック: 助言を求めに
ここの描写が面白い。
ジョン: 何だって? What? Sorry?
シャーロック: 何度もいわない
ジョン: 助言がいるんだ
シャーロック: 絵の専門家と話を
最初にこのシーンを見た時は、シャーロックはえらく傲慢だと思った。だが、何が描かれているかと言うと。。
ジョンはシャーロックが need some advice と言ったのでびっくりした。あのシャーロックが教えてもらうって? びっくりすると同時にちょっと喜ぶ。
シャーロックはジョンがそう感じたことを感じて、むかっとする。それが I'm not saying it again.
そこでジョンは You need advice. と念をおすように強調して言う。ここでスクリプトにはA broad smile とある。ジョンはシャーロックにもわからないことがある、やった!と思っている。
ジョンは、シャーロックに感嘆しているだけでなく、既に肩を並べている。
そして、次にシャーロックが I need to talk to an expert. と言うから、見ているほうはてっきりナショナル・ギャラリーへ入ると思う。
しかしシャ-ロックはくるりときびすを返してナショナルギャラリーの前を折れ、建物の裏にでる。すると、そこには絵の専門家 = いかにもアンダーグラウンドの怒れる若者、ラズが。
ここの場面転換は本当に見事だ。
このナショナルギャラリーのシーンは、単に見るものの予想と違った場所へ行くというだけでなく、イギリスを代表する歴史的、国家規模のハイカルチャーからアンダーカルチャーへ、という裏切り方がなんとも素晴らしい。
知恵は小さきものの手に。このドラマシリーズを通底している、シャーロックの行動原理だ。